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短くまとめる練習。140字に収めたい。
小ネタ。お相手は色々。ごちゃまぜ。

005 / レノ

仕事柄特定の女を作ることはなかった。擦り寄ってくる女達は、後腐れがなくて楽だ。オレはずっとこのままで良い。大切な人を作る資格なんてオレにはない−そう言い聞かせてきたのに。「もう後戻りできねぇぞ、と」「良いよ。レノが一緒なら怖くないから」一ミリも揺らがないその瞳に、負けてしまった。
2024/04

004 / アルバート・J・モリアーティ

君は穢れを知らぬ花のようだ。そう言えばきっと彼女は笑うのだろう。その無邪気な微笑みに誰もが心を奪われる。軽く触れただけで壊れそうな、脆く儚い存在に私は救われていた。「アルバート」桃色の唇が私の名を紡ぐ。私に願うことなど許されないかもしれない。それでも、どうか君だけは綺麗なままで。
2024/02

003 / 御剣怜侍

芳醇な香りが鼻腔をくすぐる。優雅に紅茶を飲む御剣検事は、絵画の中から出てきたみたい。「君も、どうかな」軽くカップを持ち上げ、御剣検事が見慣れない柔らかな笑みを浮かべる。今日は機嫌が良いらしい。「是非」香りに誘われたのか、彼という存在に引き寄せられたのか。今はまだ分からなくて良い。
2024/02

002 / 御剣怜侍

ベッドサイドの小さなライトが、恋人の横顔を照らす。静寂が流れる部屋の中、手元の資料に落とされていた目が私へと向けられた。「…眠れないのか?」こくりと頷けば「もう少しだけ、待っていてくれるか」ぽんぽんと優しく私の頭を撫でた手が、薄い紙を捲る。その手が私を抱き寄せるまで、後−−。
2024/02

001 / 福沢諭吉

扉が閉まりきるより先に、私の視界は閉ざされた。「漸く、お前に触れられる」低く掠れた声が鼓膜を揺らす。鼻先が触れ合う距離で見つめ合い、彼に触れられれば、その部分が逃げ場のない熱を持った。「何も考えなくて善い」固く閉じた瞼に柔らかな感触。その言葉に誘われるように、私は思考を手放した。
2024/01
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