爆豪くんの内気な双子の妹 | ナノ


▽ 第13話


合図と同時に11クラス一斉に走り出す。スタートゲートが狭く、スタート地点で最初のふるいとなっていた。さらに裸足の足に冷気がやってきて、憂は無理やり爆破で上へ飛んだ。すると他の科の生徒の声が聞こえた。

「ってぇー!!何だ凍った!!動けん!!」
「寒みー!!」
「んのヤロォオオ!!」

地面一帯が凍らさせており、轟の仕業だと分かる。しかし、憂だけでなくクラスメイトたちはその障害を各々突破していた。

裸足の足で走っていくと、そこにはたくさんのロボが見えた。

『さぁいきなり障害物だ!!まずは手始め…第一関門ロボ・インフェルノ!!』

入試の時の0P敵だった。入試の時は一体だったが、今は十体以上が所狭しと並んでおり、通る隙間すらない状態だ。

先頭の轟は一気にロボを凍らせ、その隙間を通り、妨害としてロボを倒していた。間一髪でそれを避けた憂は考えた。

『1-A爆豪双子、下がダメなら頭上かよー!!クレバー!!』
「!!」

どうやら兄も同じことを考えていたらしい。顔を見合わせたのは一瞬で、憂はさらに爆破して加速をつけて降りていく。

「チッ」

兄は妹に先を越されたのが腹立たしかったようで、すぐに憂を追い抜かす。自力の体力ではほぼ兄に負ける。しかも今は裸足で地面を歩くのは困難だ。

「(体育祭が終わったら、専用の靴買いに行かないと)」

憂は二週間の間で用意しておけばよかったと後悔した。灯台下暗しだった。

『オイオイ第一関門チョロイってよ!!んじゃ第二はどうさ!!?落ちればアウト!!それが嫌なら這いずりな!!ザ・フォーーール!!!』

皆が立ち止まる中で、憂はそのまま駆けて爆破で空を飛ぶ。島を幾つか飛ばして着地し、また空を駆ける。兄の背がもうすぐそこまで迫っていた。その先にいる轟の背も見えた。

『そして早くも最終関門!!かくしてその実態はーーー…一面地雷原!!怒りのあふがんだあ!!地雷の位置はよく見りゃわかる仕様になってんぞ!目と脚酷使しろ!!』

憂は地雷に捕まらないよう、上に飛び、爆速を駆ける。すぐ下に兄と轟が見えた。

『ここで先頭がかわっーーいや上見てみろ!爆豪妹も猛追だーー!!!後続もスパートかけてきた!!!だが引っ張り合いながらも先頭二人と上をいく爆豪妹がリードかあ!!!?』

このままいけば一位になれる、少し油断した、次の瞬間、後方から大爆発が起きて、憂は爆風に煽られてスピードが落ちた。するとすぐ下に出久が凄いスピードで通り過ぎて行った。



『さァさァ序盤の展開から誰が予想出来た!?今一番にスタジアムに還ってきたその男ーーー…緑谷出久の存在を!!』
「っはぁ、…はぁ、」

結果は一位は出久で、轟は二位、兄は三位だった。憂はというと、出久が起こした爆風に煽られ、順位を落として7位となった。

憂は悔しくなって唇を噛んだ。兄の背中も、轟の、出久の背中もまだまだ遠かった。


予選通過は42名。第二種目はいわゆる本戦で、42名での騎馬戦での対決となる。

「個人競技じゃないけどどうやるのかしら」

憂が思っていたことを隣の蛙吹が呟いた。参加者は2〜4人のチームを組んで騎馬を作り、先ほどの結果により各自にポイントが振り当てられる。つまり、組み合わせによって騎馬のポイントが違ってくるということだ。

「ええそうよ!!そして与えられるポイントは下から5ずつ!42位が5P、41位が10P…といった具合よ。そして…1位に与えられるポイントは1000万!!!!」
「1000万?」



15分間のチーム決めの交渉タイムに入り、憂は出久の元へ行くか行かないか迷っていた。本心では行きたい気持ちが強い。彼は高ポイントによりまだチームが決まっていないだろう。そう考えて、一歩踏み出す。すると、後ろから肩を叩かれ振り返った。

「なあ、あんた爆豪ってやつの妹なんだっけ?」
「え、そうですが…」

そこで憂の記憶は途絶えた。

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