爆豪くんの隣の彼女 | ナノ


▽ 私の手作りお弁当


障害物競走3位、騎馬戦2位と勝己くんは順調に勝ち進み、最終種目に出ることとなった。
昼休憩、クラスメイトとの食事を断り、予め持ってきていた手提げを持って勝己くんを探す。


「あの、」
「あっ、爆豪の彼女じゃん!」

大食堂で見つけた勝己くんとよく一緒にいる赤い髪のツンツン頭の人に話しかける。

「勝己くん、見ませんでしたか?」
「そういや、騎馬戦終わった後からは見てねーな」
「そうですか…」

礼を言って立ち去ろうとすると、今度は黒髪の人が話しかけてきた。

「それってもしかして弁当?」
「え、あっ、はい…」

手作りなんです、とはにかみながら言うと、後ろにいた金髪とぶどう頭の男子たちがぶるぶる震えていた。そして雄叫びをあげた。

「かー!!憎い!リア充が!」
「オイラも食べたい!愛彼女弁当!」

じりじりとこちらに寄ってくるので、一歩二歩と下がる。すると、どんっと誰かに背中が当たってしまった。

「すいませ、」
「おい、何してんだ」
「おお、爆豪!」
「勝己くん」

その相手は勝己くんだった。勝己くんは私の肩を抱いて庇うように前に立つ。男子たちを威嚇している勝己くんのジャージを引っ張り、お弁当が入っている手提げを持ち上げる。

「あ、あの勝己くん。お弁当、作ってきたから一緒に食べよ?」
「…おう。外行くぞ」

「ええー!おいちょっと爆豪ー!!」

クラスメイトの男子たちの制止を振り切り、勝己くんは私の手をとって食堂から出て行ってしまった。



「美味かった」
「おそまつさまです」

静かな裏庭でお弁当を広げて、二人で食べる。全て平らげてくれ、私は嬉しくなった。お弁当を片付けて、隣に座る。


「あともう一つ、勝己くんに渡すものがあるの」

そっと勝己くんの肩に手をかけて、顔を寄せる。数秒間、勝己くんの唇に自分のそれを押し当てた。ただの触れるだけのキスだった、それでもとても幸せな気持ちになる。

「絶対一位になってね」
「当たり前だろ」

不敵に笑う勝己くんを見て、私もつられて笑った。


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