爆豪くんの隣の彼女 | ナノ


▽ 体育祭の彼ら


体育祭本番当日。私は経営科のクラスメイトと客席から他のクラスの出番を待っていた。
他にも一年ステージの客席にはたくさんのマスメディアやスカウト目的のヒーローたちが押し寄せて賑わっている。


『雄英体育祭!!ヒーローの卵たちが我こそはとシノギを削る年に一度の大バトル!!』
「始まった!始まったよ心ちゃん!」
「うん」

私は隣のクラスメイトに揺さぶられながらプレゼント・マイク先生の個性の大きな声に聞き入っていた。

『どうせてめーらアレだろこいつらだろ!!?敵の襲撃を受けたにも拘わらず鋼の精神で乗り越えた奇跡の神聖!!!ヒーロー科!!1年!!!A組だろぉぉ!!?』

わっと会場が騒めき立つ。A組を皮切りに次々と生徒が出てきた。私はすぐその中から勝己くんの爆発頭を見つけ、小さく微笑んだ。



「選手宣誓!」

「主審はミッドナイト先生なんだね」
「ヒーローの先生ってなんだか私たちにとっては実感ないね」

客席も生徒も人気ヒーローの登場で騒めいた。遠目から見たらどうしても裸にしか見えなくて私はそっと目を逸らした。

「静かにしなさい!!選手代表!!1-A爆豪勝己!!」

「心ちゃんの彼氏だよ!」
「入試一位通過なんだ〜かっこいいね」
「うん、かっこいい」

素直にそういうと、周りからヒューという冷やかしの声がかかった。当然のことを言っただけなのに、どうして囃し立てられるのだろうと不思議に思った。

「せんせー、俺が一位になる」

途端にブーイングが生徒たちから鳴り響く。

「自信過剰だね…すごい!」

クラスメイトが呆気にとられたような顔で言う。
心は自信とは少し違うと思った。以前の勝己くんならああいうことはきっと笑って言っていたはずだ。勝己くんは真顔で言っていた。追い込んでいるんだ、自分を。

「さーてそれじゃあ早速第一種目行きましょう」
「雄英ってなんでも早速だよね」

ホログラムが映し出された。種目は障害物競走だ。

頑張れ、かっちゃん。
両手を握りしめて、絶対に一位になりますように、と心の中で祈る。

そしてスタートの合図が鳴った。


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