01
目が覚めるとそこは薄暗く、そしてひどく狭い場所。腕と足はそれぞれ縄で拘束され、小さく丸まった姿の明は現状を何一つ理解出来ずにいた。
足も腕も伸ばせないくらいに狭い。大きな袋のようなものの中にいるということだけが把握出来る唯一の情報。なぜこんな場所にいるのかはわからない。
「……痛い」
長い時間同じ体勢でいたせいか、体のそこかしこが痛い。
「起きたのかな」
そんな中、明の小さな声に反応したらしい何者かの声が外から聞こえてくる。
助けを求めるべきか、それとも静かにこの後の展開を待つべきか、明が慎重に考えている間に次の展開へ進んでしまったらしく、シュルシュルと紐をほどくような音と共に袋の口が開かれた。
「おはよう、明ちゃん」
そこにいたのはふわふわとした白銀の髪を持ち、青い目をした男が一人。整った顔付きの男に思わず一瞬見とれてしまった明だったが、その端正な顔が悪戯っ子のような笑みを浮かべた所で我に帰った。
「やぁこんにちは、おれはサンタ」
胡散臭い笑みを浮かべる青年は自らをサンタと名乗る。
それと同時に彼が着ている真っ赤な服が、服そのもののいろではなく赤い染みから出来上がっている色なのだと気付いた。
「君が欲しいと願う子達がいてね、君はプレゼントになるんだ。 なんたっておれはサンタクロースだからね」
優しい声色の彼が言うことが理解出来ずに眉を寄せる明に、サンタは満足そうな笑みを浮かべた。
「なんて言うのは口実で、おれの目の届く所に置いておこうと思ってね……ということでもう少し眠っててくれるかな?」
サンタと名乗る彼の手のひらが明の目を覆い、視界が真っ暗になったかと思えばその途端急に明の意識が落ちる。
眠る明の額に口付けをしたサンタはまた袋の口を赤いリボンで締め、プレゼントを待っている人物の所へと向かったのだった。
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