01


生まれてからずっと、陽の光を浴びたことのない肌は病的に白い。
何やら僕の一族は人前で肌を晒してはいけないらしく、目元や鼻など出さなければならない場所以外は全て包帯を巻いて隠している。

「姉さん、入るよ」

一言告げてから部屋に入る。
床に倒れるように眠っている彼女は、僕の姉さんであるトキ。余程眠かったのだろう、部屋に入ってそのまま眠ってしまったかのように姉さんは床に転がっていた。

それもそうだ。
ついさっき、姉さんの食事に僕は眠気を誘う薬を入れた。少し強めだから相当のことをしなければ目が覚めないだろう。

なぜそれ程の薬を姉さんに飲ませたのか。
その理由は。

「今日も綺麗だね、姉さん」

姉さんの、白い肌を、舐める為。
僕と同じ白い肌、すぐに折れてしまいそうな細い腕。邪魔な包帯を今すぐ切り刻みたいけれど、そんなことをしたら起きた時に姉さんが疑問に思うだろうから我慢。
ゆっくり、少しずつ姉さんの肌を晒していく。

僕の目にこびりつき、僕の舌を虜にさせる姉さんの肌。
指先、手首、二の腕に肩、首、鎖骨、胸は我慢、脇腹、臍、太ももに膝裏に脛と足首。
勿論爪先も一本一本口に含め、一通り舐めたら次は顔へ。

瞼、睫毛、目尻、頬、耳、唇、最後に口内。僕の唾液もたっぷり姉さんの中に流して僕は満足する。

「綺麗な姉さん、僕の姉さん、かわいい、かわいい」

さすがに体中に涎が塗りたくられていたら姉さんは怪しむだろうから、全てが終わったらきちんと姉さんの体を拭く。
拭き終わってからまた舐めたくなるけど我慢。

大好きな姉さん。
僕だけの姉さん。
尽きない欲望を全て姉さんにぶつけてしまいたいけど、そんなことをしたらきっと嫌われてしまう。
ただでさえこんなことをしているのがバレたら大変だというのに。

綺麗に拭き終わった姉さんの肌にまた包帯を巻いていき、姉さんの見えない位置に紅い印を残す。

「僕は何もいらないよ、姉さんが隣にいたら」

他には何もいらないから、姉さんが欲しい。
そんな僕の中のたまったら欲望を吐き出す為に、明日もきっとこの気持ち悪い行為をする。
僕は一生姉さんへの歪んだ感情を抱いていかなければならないのかと思うと、悲しいけれど、どこか幸せに感じた。

   
TOP
×