メモ | ナノ


0414 追記
「好き、好き好き好き好き好き好き好き好き好き」

雑誌を読む私の耳元で甘い声と甘い台詞を吐く弥生(やよい)。
後ろから抱き締められながら座る私と弥生は端から見れば熱々な恋人同士だろう。

「かわいい、かわいい、大好き大好き大好き、すき、大好き、君以外いらない」
「………暑苦しい」

熱々なのは弥生だけで、私は弥生がうざくて仕方がない。まだ可愛らしく言うのならばわかるのだが、弥生の場合は独り言のようにぶつぶつと呟く。
いや、もしかすると本当に独り言なのかもしれない。

「すきすきすきすき」
「すき焼き」
「だいすき、すごくすき、好きすぎて苦しい、死にそう、殺して、大好き」
「たこ焼き」
「殺してよ、君の手で殺されるなら俺は幸せに死ねる。 あぁ、幸せだろうね、君の手で殺されるなんて、本当に、幸せすぎて、」
「たい焼き」
「でも俺だけ死ぬのは寂しいな、君も一緒に、俺が君を殺してあげるから君も俺を殺してよ……あああ考えただけで幸せだ、快感、射精したい」
「……焼き…」

他に"焼き"が付く言葉はなんだろうと考えていると、急に弥生が首へと歯を立ててきた。

「痛い」
「やっぱり駄目だ、君は静かに俺に殺されてよ。俺は君を食べてから死ぬ。待ってて?」
「お腹すいたなぁ」
「すき、好き大好き愛してる、君の全てが欲しいよ」

暑苦しい弥生を無理矢理剥がし、冷蔵庫に何か食べ物が無いか探しに行ったのだった。


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