メモ | ナノ
0421 追記
◆エイプリルフールなのでチェシャ猫に大嫌いと言ってみた。
は?と驚いたような顔をするチェシャ猫へ、続けざまにもう一度「大嫌い」と告げる。
わかりやすいように一文字一文字をしっかりと発音する。そこでようやくその意味を理解したチェシャ猫は先程と全く変わらない「は?」という返事を、今度は怒気を含めて言った。
言ったというよりも自然と口から漏れたという方が近いだろう。
「どうしたんだよ、急に」
「大嫌いだって言っておこうと思って」
淡々と言い放つアリスに眉をしかめたチェシャ猫。
「なんで?」
「わがままな所とか、自分勝手な所とか、自由奔放な所とか」
むぅ、と唇を尖らせるがその姿にアリスは何の反応も見せない。
例えば眠り鼠や三月兎、または白兎やらの容姿が可愛いに分類される人物がやったのなら、表情を緩ませて頭を撫でるだろう。
「やだ」
「え、何が?」
「アリスがオレのこと嫌いなんていやだね」
「いや、ちょ、あの……」
「やだ!!オレはアリスが大好きなんだぞ?なんでアリスはオレを大嫌いなんて言うんだ、どう考えてもおかしい」
さてはアンタ偽者のアリスだな!?とまで言い放つチェシャ猫に思わず偽者と指差されたアリスは吹き出す。
「でもにおいはアリスなんだよなー、オレの大好きなアリスのにおい」
「ちょっ!馬鹿やめなさい恥ずかしい!」
アリスの首元ですんすんと鼻を鳴らすチェシャ猫は安心出来るその香りに目を細める。喉をごろごろと鳴らすその姿は猫そのものだった。
「離れなさい猫!……ちょ、ごめんね嘘だから、お願い離れて気持ち悪い」
嘘かよ、と安心するが、明らかな嫌悪の表情を浮かべて離れろと言うアリスに苛立ちを覚えたチェシャ猫は嘘をつかれた仕返しにと口を開く。
「なっ!?」
がぶり――チェシャ猫がアリスの首元に噛み付き、あまりにも唐突なその行為にアリスの声は裏返る。
「仕返し」
「こんの…馬鹿猫!!」
アリスの罵声は辺り一帯に響き渡り、その後、怒れるアリスに土下座をするチェシャ猫の姿が見られたのだった。