花より星よりオムライスより
かわいいよ
同期の早川アキくんはとんでもなくかっこよくて女の子にモテモテなのに、それを自慢するような嫌味な奴でもなく、仕事に真面目でおまけにとても仲間思いな性格のいい人だった。
「アキくん寝てるの?」
休憩中のアキくんはよく眠っていることが多い。今日も読みかけの本を顔に乗せてすやすやと眠っている。この男前は一体どんな顔で眠っているんだろうと本に手を伸ばしたが、起こしちゃったらかわいそうだと思ってやめた。
「……アキくんはモテモテですごいねえ」
「……」
「モテモテなくせに嫌味のないいやなやつ」
「……」
「マキマさんに一途なところもいや」
「……」
「いつも私のことを気にかけてくれることもいや」
「……」
「私のことなんてなんとも思ってないくせに」
ぶつぶつと文句を言い続けているうちに、穏やかな寝息が聞こえなくなっていることに気づく。本に隠されたその顔を見透かすように、そっと甘くささやいた。
「いつか私のことをすきになってくれるといいな」
言い終わらないうちにくすくすと笑ってしまう。
笑い声に気づいたアキくんは顔に乗せていた本を退かすと、むっと私を睨みつけてきた。
「おはよう、アキくん」
「……お前、俺が途中で起きてたの気づいてただろ」
「どうかな、ふふっ」
「笑うなバカ」
むすっとしてるアキくんの顔は耳まで真っ赤に染まってしまっている。
私が一番すきなアキくんの顔だ。