ラブ・ロマンスは永遠に


いつもいつも迷惑かけて、いつもいつも困らせてばっかりで、それでも私の事を見捨てないあなた。
そんなあなたが大好きだったりする私。

「スーティーンーグ!」
「うおっ!?」

早朝、私はいつも通りスティングに抱きついた。
いつもの事だからスティングも嫌がらないでいてくれる。

「ったく、お前は普通にできねえのかよ」
「これが普通なんです!スティングご飯食べに行こー!」
「はいはい」

スティングの腕にまとわりつきながら一緒に食堂に向かう。スティングを見上げると、にっこりと微笑んでくれた。
スティング大好き。
内心ではそう思ってるのになかなか口にだせなくて、まだ一度もスティングに大好きって言えてない。自分でも早く言いたくてたまらないのに、なぜか緊張してうまく喋れなくなる。
大好きって言いたいなあ。私が大好きって言ったら、スティングはどんな顔するのかな。

「おっはー!」
「アウルおっはよー!!」
「よう、アウル。今朝は早いじゃねーか」
「僕だって早起きぐらいするよ」
「あれ?ステラは?」
「ステラはネオのとこ。ところでさ…」

いきなりアウルが私の耳に近づいて来て、小さく呟く。

「スティングに好きって言った?」
「はっ!?いいい言えるわけないじゃん!!」
「はあ?まだ言ってねえのかよ」

アウルはわざとらしくため息をついた。
アウルには私がスティングの事好きってばれちゃってて、そのせいで早く好きって言えよと毎日急かされている。
まったく余計なお世話だ。私だって言えるものならさっさと言ってるよ。
私は真っ赤になっているであろう顔を隠しながら席についた。スティングは頭にクエスチョンマークを浮かべながら私の正面に座る。

「せいぜい頑張れよー」
「わ、わかったから!」

アウルはニヤニヤ笑いながら食堂から出て行った。あいつ絶対面白がってる!
私は気を落ち着かせるために朝食を食べる事に集中した。目の前にはスティングがいて、同じように朝食を食べている。
今、食堂には私とスティングのふたりだけ。つまりふたりきり。
どうしよう、アウルのせいで無駄に意識しちゃう。
どうしようどうしよう、なんか言わないと。

「なあ」
「は、はいっ!?」

話題を考えていたらスティングがいきなり話しかけてきた。
顔を上げるとスティングと目が合う。

「さっきアウルとなに話してたんだ?」
「えっ!いや、その…」

いきなりそれを聞いてきますか!?
私は目を泳がせながら必死に答えた。

「きっ、今日の朝食の事だよ!なにがでるかとかそんな感じの事!!」
「はあ?そんなんでいちいち騒いでたのかよ」

スティングはいかにもわけわかんねえって顔をしてご飯を食べ始める。
まさか、ひょっとして今って、最大のチャンス!?
私は箸を持つ手に力を込めた。
言うなら今しかない!

「ス、ス、スティング…」
「ん?」
「あ、あのさ」
「なんだよ?」
「こ、このハンバーグ、かなりおいしくない!?」
「はあ?いつもと変わんねえじゃねーか」
「そっ、そっかなあ…」

私のバカー!!なにしてんのなにしてんの!?せっかくのチャンスなのに!今言わなきゃ絶対損する!!
私はゆっくりと深呼吸をした。

「ス、スティング」
「だからなんだよ?」
「あ、あの…」

たった一言、好きですって言えばいいだけなのに。
言葉がでてこない。

「またハンバーグの事か?」
「ちっ、違うよ!」
「んじゃなんだよ」
「え、と…」

好きです。好きです。大好きです。

「……すっ、」
「す?」
「…す…」
「す?…なんだよ?」

頑張れ私!!

「す、き…」
「?」
「好きなんだよー!私ハンバーグ大好きー!!」
「ハンバーグ?そんなに好きならオレのもやるか?」
「う、うん、ありがとー…」

スティングは自分のハンバーグを私の皿に置いた。私はそのハンバーグを見て大きなため息をつく。私ってバカ?
それからは食が進まず、私はスティングがくれたハンバーグだけを食べた。
好きって言いたいのに言えない。たった一言だけなのに言えない。

「もう飯食わねえのかよ?」

ふいにスティングが話しかけてきてくれた。

「今日は、食欲ないからいいや…」
「はあ?お前今日なんか変だぞ?大丈夫かよ?」
「だーいじょーぶだよー…」
「ほんとかよ?」

私とスティングは食器を片付けて一緒に食堂からでていく。
目の前にはスティングの大きな背中。いつもならすぐさま抱きつくけど今はそんな気分にもならなくて、私はずっとスティングの背中を眺めていた。

スティングの背中を見ていたら突然スティングが振り返ってきて、私とスティングの目線が合う。

「なっ、なに?」
「お前さあ、なにをそんなに考えてんのかわかんねえけどよ」

ま、まさかばれてる?

「あんまり抱えこむんじゃねえぞ」

一瞬で私の顔は真っ赤になった。
スティングはにっこり微笑んで私の頭を優しく撫でてくれる。
どうしよう、すごく嬉しい。
私はたえきれず涙を流した。

「バーカ。なに泣いてんだよ」
「だ、だって…」
「ったく、お前はほんとしょうがねえ奴だな」
「スティングー」
「はいはい」

私は我慢しきれずスティングに抱きついた。スティングも優しく私を抱きしめてくれる。
やっぱりスティング優しい、やっぱりスティング大好き。

今度は絶対、大好きって言えるように、今は思いっきり泣く事にしました。

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