唇がふれるその瞬間に


「お、いたいた」

スティングは私を見つけるとそばに駆け寄ってきた。

「なに?」
「少し指切ったからよ、絆創膏ないか?」
「ああ、あるよ」

そう言って歩きだす私の後ろをついてくるスティング。
私は自室に入るとスティングに絆創膏を渡した。

「はい」
「おう、サンキュー」

スティングはぽんぽんと私の頭を撫でてから、その場でいそいそと絆創膏を貼ろうとしている。
じっとそれを見ていたけど、スティングは悪戦苦闘していた。

「…スティング、私が貼ってあげよっか?」
「わりーな」

苦笑いを浮かべるスティングの手から絆創膏を取り、ぺりっとはがす。
スティングって意外と不器用だよね。
そんなことを考えながら、ぺたりと傷口に絆創膏を貼った。

「はい、終わり」
「サンキューな」
「てかさ、なんで指なんて切ったの?」

まさか、料理とかしてたんじゃ。
目を細めると、スティングは慌てて訂正してきた。

「お前、オレが料理とかしてたんじゃねえかって思ってんだろ?違うぜ?つーかありえねえだろ」
「それもそうだね」
「ったく」

ころっと表情を変える私にスティングは眉を下げた。

「これはアウルがやったんだぜ」
「は?アウルが?なんで?」
「バスケやってると、あいつ見境なく攻撃してくるからよ」
「なーるほど」

アウルならやりかねないな。
そう思ってスティングの体を見てみると、なんだか傷だらけなのがわかった。

「…スティング、もうアウルとバスケするのはやめたら?」
「でもよ、ここつまんねーし」
「それはわかるけど」

私はしかたなく部屋に戻り、もう一枚絆創膏を持ってきた。

「?なんだよ」
「そこ、切れてるよ」
「あ?」

私が指差した先はスティングの腕。
血がでていて、なんだか痛そうだった。

「そーいや、ここもアウルにやられたんだったな」
「さっきのとこよりも酷いじゃん、スティング弱すぎー」
「バーカ、手加減してんだよ」

私はスティングに近づき腕に絆創膏を貼る。
貼り終えたと同時に、スティングは私の頬に手を添えた。

「スティ…」

顔を上げるとステイングの顔が近くにあって、瞼にやわらかいなにかが落とされる。
それはちゅっと音をたてて瞼から離れた。

「サンキューな」

スティングは最後にぽんぽんと私の頭を撫で、その場からいなくなった。

「…スッ、スティングのバカー!!」

なんだか無償に恥ずかしくて、もう誰もいなくなった廊下に向かって叫び声を上げた。
スティングめ、今度絆創膏もらいに来ても、絶対貼ってあげたりしないんだから。

×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -