さよならのアイズ
アウルが死んだ。敵に殺られて。
私は泣かなかった。
「おい」
聞きなれた声に私は耳もかさず、目線は海を見つめたまま。
「もう夜だ、そろそろ中に入れよ」
スティングは気を使ってか、私の隣にはこなかった。
私が泣いてると思って。
「もう少しここにいる」
「そうか…」
スティングの声は、私を哀れんでいた。
大好きだったアウルが死んで、かわいそうに。行かないで行かないでと、もういないアウルに叫んでいるのだと。
「スティング」
私はゆっくりと振り返り、スティングに笑みを見せる。
「私、泣いてないよ」
自分の言葉なのに、酷く耳に響いた。
「…ああ、わかってる」
スティングはそれだけ言って、その場から去って行った。
うそつき。本当は、私が泣いてると思ってるくせに。
「……アウル」
すべてが、あおい。
そんなあなたに、さよならを。
「アウル、さよなら…」
冷たい鉄の塊が、私の体内に重い衝撃を与える。ぽたりと血が、体から流れでてきた。
アウル、あなたの死が、私のさよならの合図。
さよならアウル。
とても愛していました。