一番星みつけた


一番最初に見える星。
すっげーきれいだなって、僕は思った。

「うっわ!すっごい星の数!」
「うっひょー!マジすげーっ!!」

久しぶりに地球に戻った僕達は地球に着いた瞬間外へ飛び出した。
もう辺りは真っ暗で、それでもすっげー量の星のおかげで、周りが明るく見える気がする。

「シャニとオルガも外にでてくればよかったのにねー」
「あいつらに星なんか見せたって意味ないっしょ」
「うわ、クロトひどっ!」
「うっせ!ほんとの事だろーが!」

僕はため息をつくあいつを無視して、夜空を見上げた。

「あれがーオリオン座で、その上が天秤座!」
「……クロト、それでたらめでしょ?」

図星を言い当てられた僕はすぐにうっせーよ!ブワァーカ!と言い返す。あいつはそんな僕を見て必死に笑いを堪えていた。
くっそー、バカにしやがって!
僕はあいつから視線を外した。

「それにしてもすっごい星じゃない?」
「はあ?どこがだよ、全然普通だっつーの!」
「私達あんなとこから来たんだねー」
「(こっ、この野郎!堂々とシカトしやがった!)」

僕が苛立っていても、あいつは一向に気づかない。
むかついたから言い返してやった。

「お前にはあのすっげーへなちょこな星がぴったりなんじゃねー?」
「は?なんでよ?」
「だってお前へなちょこだし」

僕の言葉に眉を吊り上げるあいつ。
僕はやっとで優越感に浸る事ができた。

「じゃあクロトは、あのすっごいちびな星ね!」
「はっ!?なんで僕が!」
「だってクロトってちびじゃん」

僕が口をあんぐり開けていると、あいつが腹を抱えて笑いだす。
一瞬にして崩された優越感を取り戻すため、僕も負けじと口を開けた。

「てめえのほうがちびだろーが!」
「私は女だからちびでもいいんですー!」
「えー?お前女だったのー?全然気づかなかったあー!」
「なっ、クロトあんたねえ!」

あいつがものすごい形相で僕の脇腹を殴りつけてきた。

「いって!少しは手加減しろっつーの!怪力女!!」
「そのくらいの事で泣き言言ってんじゃないわよ!」
「て、てめえ…!」

いらついた僕は、勢いまかせに乱暴なキスを落とした。
ゆっくり唇を離すと、心底驚いている顔が目の前にある。

「…ははっ、お前びびりすぎだし!キッ、キスくらいで、いちいち驚いてんじゃねーよ、バッ、ブワァーカ!!」

そう言いながら、僕の心臓はありえないくらい鳴り響いていた。
やべ、僕なにやってんだよ。
僕は自分の顔が赤くならないようにするのに必死だった。

「な、なによ、いきなり変な事して…」
「うっ、うっせーよ!」
「あんたみたいなガキはお断り!」
「はっ!?」

僕が振り返ると、あいつはさっさと艦隊に戻ろうとしている。
僕は慌ててあいつに声をかけた。

「顔真っ赤な奴がよく言うぜ!」
「う、うるさいっ!とにかくあんたは却下!」
「あーもうっ!」

じれったいこの空間がいやになった僕は、すぐさまあいつのあとを追った。
それと同時に、あいつも歩く速度を早める。

「てめ、止まれっつーの!」
「絶対止まんない!」

満天の星の下、僕とあいつは必死の追い掛けっこをした。

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