おはようぼくのモンスター


仕事が終わって春雨に戻ると艦内は静まり返っていてほとんどのやつらが寝入っていた。時刻を確認し突き進む。自室とはまるで反対方向へ向かいお目当てのものを見つけぴたりと停止。目の前にはひとつの部屋。中からは何も聞こえない。躊躇することなく手を伸ばし襖を開ける。中は小さな灯りだけが点けられていて、薄暗い室内に廊下の光が差し込んだ。ひたり、歩を進める。奥に進めば進むほど規則正しい小さな寝息が聞こえてきた。あと少し。ひたひたと進んでいた足がぴたりと止まった。足元に目を向ければ布団にくるまり気持ちよさそうに寝ているひとりの女が見える。その人物を確認し間違いないとその場に腰を下ろした。

「あはは、ぶっさいく」

熟睡している女の鼻に勢いよくずぼっと指を差し込む。塞いだのはもちろん両穴とも。そのままで数秒、カチカチカチ。時計の針の音が何回か目のときにやっとで女の顔が苦しみに歪んできた。こいつは鈍いからなと差し込んでいた二本の指をもっと奥へと差し込む。女は、んんっとくぐもった声を出しもう限界とでも言うように口で息をし始めた。こんなにも苦しそうな顔をしているのに、それでもこの女は起きない。なんて図太い神経だ。ケタケタと笑いながらさらに奥へ指を進めるとぬるりとした違和感を感じ指を引き抜く。たらりと女の鼻からは血が流れ出していた。鼻血。鼻血をたらしながら寝る女。ぶさいくだ。

垂れ流し状態の鼻血はそのままに、そっと女の額に触れる。前髪をかき分けているとくすぐったかったのか女が俺に背を向けるように寝返りを打った。すかさず頬を殴りつけ強制的にこちらを向かせる。殴ったあとの女の頬は赤く腫れていた。少しやり過ぎたかな?それでも女は起きることなくいまだ熟睡中。どうやらやり過ぎてはいないらしい。それにしてもまたぶさいくになった。

再び女の額に触れる。今度はなにも反応がない。そのまま手を下におろしていき頬で止めた。先程自分が殴りつけ赤く腫れあがってしまった頬は熱を持ち違和感がある。そこを思いっきり押すと、だー!!とよくわからない掛け声のような叫び声をあげ女は飛び起きる、かと思いきやそのまま熟睡。どこまでも図太い女だ。またもや頬に手を添えその手はそのまま下降。止まった場所は少し半開きの唇。唇の細く開いた隙間から生暖かい息が漏れていて誘われるように指がそこへ向かう。唇の中に侵入した指は前歯の下を通り一気に口の中へ。
口の中をかき混ぜるように指をぐるぐると動かすと女は、んー!んー!と腹の奥から声を出し苦しそうに顔を歪めた。今までとは違い女の反応がはっきりとしたものになり俺は笑う。もっと苦しめてやろうと口の中にある指を動かせばがちりと嫌な音。見れば女の口に入れている自分の指からわずかに血が。ああ、噛まれたのか。ふと視線に気づき女の顔を見ると、女は心底驚いているのか目を見開いて俺の姿を凝視。ああ、起きちゃった。女は呻き声をあげながら必死に俺の指を口の中から引き抜くと急いで俺から離れた。

「な、なんでここに!なにしてるんですか団長!」
「夜這い?」
「よ、夜這いって!あれ、なんで鼻血!?いた!え、なんでほっぺ腫れて、まさか、これ全部団長が!?」
「楽しかったよ、ぶっさいくな顔して」
「あんた人殴りに来ただけじゃん!!」

安眠妨害!とぎゃんぎゃん喚く女に違う違う鼻血は殴ったから出たんじゃなくて指突っ込んだら出たんだよと教えてやると、余計ひどいわ!と怒鳴られた。ぎゃんぎゃんぎゃんぎゃん。女の声が耳に響く。これならぶっさいくな顔して呻き声をあげていたときのほうがまだマシだ。

「うるさいな、静かにしないと今度は下の穴に突っ込んじゃうぞ」
「こんな時間からなんつーこと言ってんですか!!やめて下さいよほんと!心臓に悪いんで、っていま何時!?」

もうこんな時間!?と慌てて起き上がる女は何か用事があるのか、俺がいるというのにも関わらずさっさと着替え部屋から飛び出して行った。何もすることがなくその場に座り込んでいるとひょっこりと部屋の中に顔をのぞかせた女がなにしてるんですか!団長もくるんですよ!とまたうるさく俺を呼ぶ。ぎゃんぎゃんぎゃんぎゃん。うん、やっぱり下の穴に突っ込もう。

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