![]() 窓から差し込む光に自然と目が覚める、そんな心地よい朝だった。ゆっくりと目を開ければ、隣で寝ていたはずのウィンリィがいない。寝ぼけ眼で辺りを見回せば、窓辺に立つ彼女がいた。薄いカーテンからは朝日が透けて、ハニーブロンドの髪がキラキラと輝いている。 「……はよ」 「あ、おはよう」 視線をこちらに寄越して微笑む様に、ああ綺麗だ、なんて感情がストンと落ちてくる。自分にも、自分たちにも似合わなくて、口には出さなかったけれど。 「なに見てたんだ?」 「ん? あー、うん……」 珍しく歯切れのウィンリィを疑問に思いながら隣に並べば、見えるのは見慣れた景色。 「……10月3日だなって」 「……ああ」 焼け跡は何年経っても消えない。無くすことはできるのかもしれないけれど、アルと二人で残しておくと決めた。幼なじみである彼女もこの場所に特別な感情を抱いているのは、当日――代わりに泣いてくれたあの時から知っていた。それがさらに特別になったのは、おそらく銀時計の中を見たあの日なのだろう。憐れむでも哀しむでもなく、ただ彼女の中で大きなものとして残っている。残してしまった、のかもしれない。 「……おまえは」 「うん?」 「忘れられないこと、あるか……?」 忘れないために刻んだ過去は、今では忘れられない過去だ。良いか悪いかは別として、緩やかに変化していくそれを、受け入れていきたいと思う。 「……そんなの、いっぱいあるに決まってるじゃない」 外を見たまま問いかけた俺に、ウィンリィはきょとんとした顔で答える。まっすぐな視線を感じてそちらを見れば、先程まで微かに憂いを帯びていた瞳が今はもうクリアになっていた。 「いいことも、そうじゃないことも、いっぱいあるよ。あんたとの思い出だって、忘れられないこといっぱいなんだから」 「……そっか」 「そうよ。でも……そうね、人間って悪いことの方が記憶に残りやすいでしょ? それなのに、それ以上に強烈ないい思い出があるのって、幸せなんじゃないかなって思うの」 口元に弧を描きながら、ウィンリィは再び窓の外へと視線を移す。眩しそうに瞳を細め、思い出している出来事は一体なんだろう。その横顔は、気のせいか先程よりもキラキラと輝いていて、思わず俺も目を細めた。 「……眩しいな」 零れた言葉に、ふわりと微笑んだ気配がした。 14.10.3(Don't forget) 一人でなんでも背負おうとしていたエドに共有することを覚えさせたのがウィンリィだといいなって思います エドウィンにおけるウィンリィの何が好きかって、恩着せがましくないというか、「あたしにも辛さを分けてよ」っていうスタンスじゃないところかな…無意識で相手を楽にさせてあげてるウィンリィさんすごくいい女だからエドワードさん幸せだと思います そういう凄さに気付いてないエドワードさんでもいいです ていうよりお互いそんなつもりもなくそういう関係であるって考えるとエドのどことかウィンリィのどことかじゃなくてエドウィンっていう関係が素敵だなって思ったのですがうまく言葉にできなくて伝わってない気がする…うーん あと雰囲気ぶちこわしの蛇足をすると、このウィンリィさん真っ白な彼シャツ1枚の姿です →back |