一夏羽が一夏羽である由縁



私が赤軍になったわけェ?だァかァらァ、おじさんについてきたんだってェ。え?何でついていったのか?それはァ……私が親よりもおじさんの方が大切だったから。

私は親に大切にされた覚えがない。私が産まれて一年経たずに悠生が生まれたからだと思う。私は夜泣きもせず、すぐに歩いて、すぐにオムツが外れたらしいけど悠生はその逆だったらしいから、自然と私よりも手が出てしまったのだと思う。結果私は半分放置されていたようなものだった。

私にとっても悠生は大切だった。自分よりも小さな存在だから守らなくちゃと思った。ただ、悠生は私の唯一だったけれど、悠生にとって私は唯一でなく、両親にとっても私は唯一ではなかった。

それを変えてくれたのは來人おじさんだった。1年に2回くらいしか会えなかったけど、來人おじさんは私を『夏羽』としてみてくれた。『悠生の姉』ではなく、『夏羽』として。

だからあの日も私は迷わずついていった。


あの日…別の軍から襲撃があったあの日は悠生の避難道具を準備してすぐにおじさんに電話した。おじさんは意外としっかりしてるけれど変なところで抜けてるから少し心配になって。

電話におじさんはすぐに出た。でも私が何か言う前にボソボソとこう言った。

「家族を捨ててでも、僕を助けてくれるかい?」

絶句した。
おじさんはそんなこと言う人じゃない。私に弱さを見せる人じゃない。驚いて、何も言えなかった。そして何かを返す前にすぐに電話は切れてしまった。

そこから私の行動は早かったと思う。
ぐずる悠生に人形を押し付けて黙らせ、隣のおばさんに預け、止める声に振り返ることなく小さなリボルバーを片手におじさんの住むマンションに駆け込んだ。

おじさんはマンションの前に居た。片手に得物の刀を持って、背後に人間の山を作って。でもそんなの、どうでもよかった。おじさんが、泣いてたから。

「おじさん!」
「…!なつは…」

おじさんは私を見ると刀を落として手を広げようとして、やめた。それを無視して私はおじさんに飛びついた。

「夏羽が助けに来たよ!おじさん行こう!!」



って言うわけでェ私とおじさんは赤軍に保護されて今に至るってかんじィ?あーそうそう、あの奇襲は赤軍がやったんだよねェ。おじさんが内部から連絡してたってェ。おじさんは元々白軍を裏切る気で…ン?そうじゃない?何で生みの親より時々しか会えないおじさんを選んだか?ウーン、私と貴方は違う人間だからァ同情っていうか共感はできないかもしれないけどぉ…

貴方は、上の空でしか話を聞いてくれない人と、ちゃんと目を見て話を聞いてくれる人、どちらを信用する?
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bkm




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