▼赤軍3 中央地域にて
「ひィ思ったより爆発したァ」
『なぁにが思ったより爆発したーだ!もう!危ないでしょうが!」
『和ちゃん先輩お母さんモードだ』
「ごめんなさァいおかァさん」
さも愉快にけらけらと夏羽は笑う。しかしそのフードに隠れた瞳はせわしなく動き続けている。
通信機の向こう側には七番と和彦がいる。
和彦は呆れた声音で続ける。
『はぁ・・・状況は?』
「馬の地響きがするくらいかなァ。白はスコープなしでもわかるけど、黒の制服はスコープ越しにちらちら見えるくらいだよォ」
『先手は白軍がとったか・・・。そうだ。白軍に強敵がいるみたいだ」
「キョウテキ?」
突然出てきた単語に夏羽は首を傾げた。
『朔斗センパイでも奇襲で二人のうち一人殺すのがやっとだったんだ。そのやってない方の一人からからがら逃げてきたようで』
『朔ちゃん先輩はカメラ持ってなくて、僕も状況がわかってないんだ』
七番はカメラなどの映像、画像データの分析を得手としているが、朔斗にはカメラを持たせていなかったようだった。夏羽は自分の首に巻いてあるチョーカー型のカメラを触った。
「ナルホドォ。私にそのキョウテキとやらを見てこいってことかなァ」
『ごっ明答!よろしくおねがっいしまぁす!あ!でも無茶はしないでね』
無茶はしないでと言う割にその声音は浮ついている。はやく分析したくてたまらないのでろう。
「じゃア、黒軍と鉢合わせになったところを狙ってみるねェ。」
『念のため雄一を向かわせるね』
「うィりょォかァい」
プツンと通信回線が消えるのと同時にごうごうと未だに勢いよく萌えるガソリンスタンドを背に、夏羽は飛び出した。
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