義理チョコ
先日ルキアとキスをした
そんなことするのは友情じゃなくて愛情。片想いじゃなくて相思相愛。
相思相愛=恋人
今まで仲間だとか友達だとか精一杯否定してきた俺らだけどようやく恋人同士になれたんだ。
なのに恋人達のバレンタインである今日、俺が彼女からもらったのは某10円チョコで。
....あれ?
「....ルキアさん、これ何ですか?」
「チョコだが?」
「お前さ、コレを俺だけじゃなくて石田達にもあげてたよな?」
「バレンタインとは世話になっている人にチョコを渡すんだろう?何か間違っているか?」
「だから!そんなのは義理チョコって言って...付き合ってる奴には本命を....」
「ほう....私は付き合っている奴なんておらんが?」
「は?」
「ある大馬鹿者から接吻はされたが、肝心のことを聞いておらん。」
ある大馬鹿者って俺、だよな?この際馬鹿でいいからルキアにキスをしたのは俺だけだよな?
あの時確かめちゃめちゃいい雰囲気になったんだ。
そう何て言うか自然な流れで抱きしめられて、ルキアが目を閉じて。俺らに似合わない甘い雰囲気。
んで肝心なことってなんだ?
“キスしていいか?”
何か違うよな。
“お前可愛いな”
俺がそんなの言える筈がない。
....あっ!
「....“好きだ。付き合ってくれ”」
「上から目線が気に入らんが、まぁ良しとしよう。」
「チョコくれねーの?」
「今日付き合った奴にチョコを用意できるほど私は準備万端な者ではないぞ。」
“来年だ”と恋人は笑いながら言った。
俺はたった今本命チョコとなった10円チョコを噛みしめて食べた。
END