逃がしてなんかあげないの




ヤンデレ織姫注意








私は光を失った。私の目はもう何も映さない。勿論大好きな貴女も。

だけどね、悲しくなんかないよ。だって目の代わりに貴女を手に入れられたんだから。










「朽木さん、今日の天気は?」




カチャカチャとカップを出してお茶の準備をしているであろう彼女に質問する。すると彼女は私に甘いミルクティーを渡して「井上の好きな晴れだよ。」と答えてくれた。

ミルクティーを口に含むと私好みの甘さだった。最初の頃は甘過ぎたり、反対に苦すぎたりとしたのに今はお手の物だ。それは私と彼女の過ごしている時間の長さだよね。そんな優越感に私は微笑む。








「ねえ、朽木さん。私ね晴れは大嫌いだよ。」

「え・・・。」

「前はね好きだったんだー。ぽかぽかして気持ちいいし、洗濯物よく乾くし!だけどね今は晴れが嫌い、大嫌い。太陽が嫌い、オレンジ色が嫌い。」






だって貴女が彼を思いだして寂しげな顔をするから。









「朽木さんはずっと私の側にいるよね?」

「ああ。」

「私の目を奪ったのは朽木さんだもんね?」

「・・・ああ。」









奪ったという言葉は間違ってるのかもしれない。だけど彼女を縛り付けられるから私はその言葉を選ぶ。


最初はね、私はただ貴女を護りたかっただけだったんだよ。虚の攻撃が朽木さんに迫っていて、私の身体は動いていた。それが私の記憶の最後。目覚めた時には光がなく彼女の泣き声だけが聞こえた。

その泣き声を聞いて、すまないと謝り続ける貴女の声を聞いて私の汚い感情が現れた。



貴女を側に置いておく理由ができたと思ってしまった。





それを思ったら最後で、私の口から出てくる言葉は彼女を束縛するものばかりで、ただ傷付けただけだった。だけど私の心は麻痺をしていて彼女が私のモノになったという満足感だけが残った。



黒崎君は、彼女の恋人は“自分も一緒に償うから”と言った。純粋に彼女の罪は自分の罪というきれいごとか、ただ彼女が盗られるのが気にくわないだけか。残念だけど黒崎君の思い通りにはさせないよ。彼女は私のモノ、貴方には会わせない。





彼女が目にするのは私だけ

彼女が話していいのは私だけ

彼女が想っていいのは私だけ



そうでしょう?朽木さん。







「どうしたの朽木さん、泣いてるの?」

「泣いてなんかいないよ井上。」

「嘘ついちゃ嫌だよ。こっち来て。」






彼女の頬を触るとやっぱり濡れていた。昔は彼女の泣くと焦っただろうに、今は心地よいだけ。





ああ、私は貴女を想いすぎて狂ってしまったんだ。











「朽木さん、大好きだよ」





彼女の涙を拭き取って抱き締めながら囁く。
それは彼女を縛り付ける魔法の言葉。



もうね、狂った私は貴女なしでは生きられないの。


END

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