ヒロインなんかになれない




アレマリ←ソマ注意










アイツは私に戦ってほしくないらしい。


君に戦ってほしくないなんて普通の女にとっては最高の殺し文句なんだろうけど私には効かない。


だって私はソーマだから。
マリーじゃないから。




マリーだった記憶を私は覚えている。マリーはアイツを心から大切に想っていて、アイツもマリーにすごく優しい眼差しを送っていた。幸せそうな二人。私にはいかにも無縁なことなのに皮肉なことにマリーと私は同一人物。
だけどいくら身体が同じだろうと二人の関係をまるでドラマを見ているかのように客観的にしか見れなかった。
そして私はドラマの主役達に憧れる視聴者といったところか。


私もこんな風に想われたい

私も誰かをこんな風に想いたい



そのように思いながら人は物語に魅了されていく。









わかっているよ、アレルヤ。お前はこの身体を傷つけたくないから戦ってほしくないんだろう?マリーの身体だから。


お前は私に言っているんじゃない。私を心配しているわけじゃない。




別に悲しくもないし、怒りもしない。恋人の身体を心配するのは当然だ。
ただ少し羨ましくなっただけ。こんなにも心配してくれる人がいるマリーを。私もこんな風に誰かに想われたいというパターンにハマってしまった。


これじゃ恋愛ドラマに踊らされているピエロじゃないか。





視聴者から関係者に変わって、私は幸せな二人のドラマに入ってきた邪魔な存在。




例え同一人物でも私はドラマのヒロインなんかにはなれないんだ。


END

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テーマ「人外ファンタジー」
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