絶対的情報




俺のベッドで我が物のように寝転がっている共犯者。ベッドはピザの食べかすで散らかっていて思わずため息をつく。





「ため息なんかついたら幸せが逃げていくぞ?」

「ついてほしくなかったらまずピザはテーブルの上で食べてもらおうか?」

「別についてほしくないとは言ってない。お前がいくらため息をついたって逃げていくのはお前の幸せだ。私の幸せではない。」

「....チーズだけはベッドにつけるなよ。手洗いしなくてはならなくなる。」

「細かい男だ。」







文句を言いながらまたピザにかぶりつく。全く反省の色がない。


何だかんだといってこいつと共犯関係になってから結構過ぎた。

だけど俺が知っているのはこいつの態度のでかさ、食い意地くらいだ。 それ以外何もしらない。
たぶん聞いてもかわされるんだろうけど。
“私がお前の味方だという事実だけで十分だろう”という風に。




確かに共犯者としてはその情報だけで良いのだろう。もしかしたらそれ以外の情報なんて必要ないのかもしれない。


だけど俺はコイツとの契約内容さえ知らない。コイツの願いを。
契約内容を知らないで何が契約だ。




一度、ふざけて『どうせピザを一生食べたいとかだろう』と言ってみたけど、『それもいいが、もっと素晴らしいことさ』と返された。

そしてその顔は悲しげだった。まるでこれ以上踏み込んでくるなというように。


何故か苛立ちを感じた。


















「やっと呼んでくれたね、私の名前。」









彼女が喋ったのは彼女の名前だった。ようやく手に入れられた彼女の情報の一つ。




だけど俺は彼女のこんな優しげな声なんか知らない。

彼女が誰に呼んでもらったかは知らない。






1つの情報でたくさんの疑問が出てくる。なんともまぁ難儀な少女。


ああ、そうか。これが C.C.なんだ。 それが俺の共犯者。我ながら面倒な奴と共犯関係を持ったものだ。









“私がお前の味方だという事実だけで十分だろう”


その情報だけではやっぱり足りない。
1つの情報でたくさんの疑問が出てくる?そのたくさんの疑問をまた解けばいいんだろう?大丈夫、頭を使うのは得意だから。










「“ーー”」



今知ったばかりの共犯者の名前を呟く。

コイツの共犯者だという少しの優越感と共に。


END

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