平和が一番




野郎共ばかりなこの空間でバレンタインという行事なんてないようなものだ。


なのに何だ。目の前の大量なチョコレートは。













「松平のとっつぁんからの命令でさァ。江戸中のチョコレートを買い占めろって。どうせ娘のバレンタイン妨害でしょ。」

「税金泥棒と市民から冷たい目線を浴びるのは俺らってことわかってんのか。
で、どうすんだ?このチョコ。」

「また愛の戦士にでもなって市民に配ってきたらどうですか?」






思い出したくもないネタ持ち出しやがってこのやろう。そんなんやったら恥で死ねる自信がある。てかあれはその場のテンションだ。



コイツは残念だと言いながらチョコレートを積み上げながら遊んでいる。
積み上げられていくチョコレートを見て思わずため息をつく。













「おっ何だ!このチョコ!まさかお妙さんが俺に....」

「どう考えたらそんな思考になるんだ。これは松平のとっつぁんのせいだよ。」





近藤さんはあの女からの贈り物でないとわかって肩を落とすがすぐにまたキラキラとした目で「今日はチョコレートパーティーだ!!」と高らかに宣言。




野郎ばかりでそんなパーティーやったって虚しくなるだろと言おうと思ったがあまりにも楽しそうにしているから止めた。














山崎は相変わらずこういう細かい作業が好きみたいでチョコレートを刻んでいる。なんていうか、適応力が早い。



総悟は味見係だと言いながらチョコレートをつまんでいる。ちょっと一回死んでこい。



報告にと屯所に来ていた伊東は冷ややかな目で見ていたが近藤さんに調理所に引きずりこまれ、エプロンをしてチョコレートを溶かしている。“ チョコレートはテンパリングが大切なんだ”と何だかんだ言いながら本格的だ。



他の隊士も食べたり、投げたり....って食べ物投げんな。





その風景を相変わらずニコニコ顔で見ている近藤さん。





ああ平和だ。






チョコレートは甘くて酒には合わないけど今はこの甘さは俺にとって心地よい。


END

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