別に君のおかげじゃないんだよ




3Z設定










「さっさと帰る準備を始めたらどうだい?」

「お前もな。門限間に合わねーぞ。7時までに帰ってきなさーいだろ?」

「勝手に僕にそんなオプションを付けないでくれ。」

「お前の家のイメージがそれ。」










剣道場に響くのは自分たちの声と剣をふる音だけ。辺りは薄暗い。後少しで真っ暗になるだろう。



大会前の自主練。さっきまでちらほらと人がいたがもう見たいテレビがあるとかで帰って行った。後は目の前にいるコイツだけ。




ぶっちゃけ自分も早く帰りたい。もう充分に剣はふった、汗だくの胴着を脱ぎたい、家に帰ってゆっくりしたい。しかも最後に残った奴が後片付け+鍵閉めだ。良いことなんてありもしない。


だけどコイツより先に練習を終わるのは非常に気分が悪い、ムカつく。

アホらしいプライドだと思うがこればっかりは譲れない。








そう考えていると一方の剣の音が止まった。











「このままじゃらちがあかないと思わないかい?」

「確かにな。」

「そこで提案だ。試合をして先に一本とった方が勝ち。負けた方は後片付け。どうだい?」

「はっ...てめーにしてはいい考えじゃね?」






お互い面を被り、剣を構える。




さあ、さっさと終わらせて家に帰ろう。
あっでも少しお腹が減っているな。よし、負けた方肉まんおごり追加な。




条件を追加したって大丈夫

お前になんか負ける気しないから。

こっちの台詞?相変わらずうるさいよお前は。


















お互い一本もとらせずに勝負は長引いて、先生の怒鳴り声で引き分けでおしまい。
結局後片付けも鍵閉めも二人でやらされて、帰る時間だって遅くなった。





「あー真っ暗。お前のせいだ。ねちっこいやり方しやがって。戦い方も性格がにじみ出てんな。」

「君も全く考えずに打つ辺りがにじみ出ているよ。実に単純な攻撃だった。」

「単純な攻撃する奴に一本もとれなかったのは誰だよ?」

「ねちっこい奴に一本もとれなかったのは誰だ?」









“お前が”と憎まれ口を開く前にお腹がなる。

ああ、そういえばもう夕食の時間をとっくに過ぎている。






「コンビニ寄らねぇ?」

「珍しく気が合うね。」









意味はないけどお互い、相手の分の肉まんを買った。だってコイツの財布の中身が寂しくなるのがいい気味だから。まぁその分自分の財布の中身も減るんだけど。












『....ぬくい』





かじった肉まんは何だかいつもより美味しかった。


END

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