幼なじみの距離2




数日前、絶賛片思い中の幼なじみと何年かぶりに話した。


なのにかっこつけようとして大失敗。もはや“〜ぜ”がトラウマ化だ。



ああ恨むぞ俺の舌。













「一護、かなり暗いね。」

「誰のせいだよ?」

「え?君の舌のせいじゃない?」




落ちてたじぇ?

落ちてたじぇ?









....水色、録音してたのね。携帯って便利ー。....マジ死んでいい?









「まぁ0.01割くらい僕のせいかもしれないから良いこと教えてあげるよ。」

「0.01割かよ。」

「今度体育大会があるでしょ?隣のクラスの委員、朽木さんなんだ。んでこのクラスは僕。」

「それが何だよ?」

「もー鈍いなぁ。委員を代わってあげるよ。同じ委員なら話せる機会があるでしょ。」








ルキアと....

同じ委員?









“黒崎、放課後一緒に残ってくれないか?”

“黒崎ってプリントまとめるの上手いな”

“....委員会をやってきて黒崎の良いところたくさん見つけたんだ。私....黒崎のこと.....”









うあああああ!ちょ、やばい!







確かに話せる機会はかなりありそうだ!前はチャンスが一度きりだと考えたからあんなんになったんだ。今度は放課後ずっと一緒!
それに委員会での恋愛発展は少女漫画の王道。何かいけそうな気がする!
よっし!頑張れ、俺!










「あのさ、水色。それって一護に委員会押し付けただけじゃ?」

「黙ってて下さいよ、浅野さん。」

「敬語いやぁぁぁぁ!!」

















「はい、今から体育大会実行委員会を始めまっす。俺は委員長の志波海燕だ!よろしくな!」




ニカッと爽やかに笑う委員長。気さくな人だなーって思いながら隣をチラ見する。

そりゃルキアは隣のクラスだし隣は当たり前だ。だけどこれは神様がくれたチャンスのような気がした。神様ありがとう!
てか俺汗臭くとかないよな?この距離って何でもわかっちゃうじゃん!あールキアいい香りすんな....って俺ただの変態じゃん!








「黒崎ぃぃぃぃ!!聞いてんのかぁぁぁ!」

「はいぃぃぃ!?」






気付いたら目の前に委員長のどあっぷ。顔近っっ!!







「よっしお前副委員長に任命な!文句は聞かねーから。」

「いや、ちょ!」

「はい決定〜。」






副委員長の欄に俺の名前がかかれていく。何?この嫌がらせ?


クスクスと笑い声が聞こえてくる。ってルキアにも笑われてんじゃん!しかも苦笑い。



なんか出鼻挫かれた....。














「まぁ今日は顔合わせみたいな感じだし解散!」





自己紹介をして、仕事内容を少し説明されて今日は終わりらしい。なんか疲れた....。











「黒崎」









疲れが一気にぶっ飛んだ。

え、俺の名前黒崎だよな?黒崎て俺のことだよな?


ルキアが俺に話しかけてんだよな?










「は、はい何でしょう?」





何で敬語ぉぉぉ!?
アホか俺は!!









「こないだはノートありがとうな。」

「い、いや別に。」

「何でそんな挙動不審なんだ?」







クスクスと笑いながら俺を見つめてくる。ああ挙動不審なのはお前のことが好きだからだよ!と言えたらどんなにいいか....。









「.....久しぶりにお前と話した気がする。」

「え、ああそうだな。」

「幼稚園から一緒だったのにな。」







そう言ってルキアはうつむいた。表情が読めない。だからルキアが何を考えているかわからない。


この距離感がもどかしかった。













「へールキアと黒崎って幼稚園から一緒なのか!」

「海燕先輩!?」





突然話に割り込んできたのはさっき俺を副委員長に任命した委員長本人。


って....ワンモアプリーズ?




“ルキア”?

“海燕先輩”?










「黒崎?どうした?ボーッとして....。」

「え、いや何でもないッス。」

「なーな、ルキアってちっさい時どんな奴だったよ?コイツに聞いても答えてくれなくてさー。」

「あ、当たり前です!」








“そーかそーか”と言いながらルキアの頭を撫でる委員長。
反論しながら顔を赤らめるルキア。



残念ながらそれに耐えられる神経を俺は持ち合わしていない。







「俺、帰ります。」

「え?あ、ああ悪かったな。ひき止めて。」

「今度聞かせてくれよー。ちっさいルキアの話!ああ、今も小さいか。」

「か、海燕先輩!」










誰が聞かせるか。
心の中で呟くけど勿論この人には聞こえない。







どうやら俺は敗戦確定の土俵に上がってしまったようだ。






















「ちょーっといじめすぎたか。」

「何の話ですか?」

「いーや、こっちの話。」


END

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