同じ空間を共有しよう




俺の部屋は冬になるとこたつを出す。
こたつというものは一回中に入ると離れたくないものであって、もちろん人間だけでなく死神も例外ではないらしい。









遊子から頼まれた買い物を終え、俺は今年一番の寒さのせいで身体が冷えきっていた。
一刻も早くこたつに入ろうと電源を入れようとしたらもうすでにONになっていた。出かける前に切った覚えはあるのにと不思議に思ったが、一刻も早くこたつに入りたいし、もうこたつは準備万端で俺を歓迎しているんだと思い直し、こたつに足を突っ込む。







「痛っ!」





その声が上がると同時に俺はこたつの中にいた存在にやっと気付く。


布団を上げて見てみるとルキアが手足を縮めて丸くなってこたつの中にいた。








「人を蹴るとは何事だ一護!後布団をめくるな。冷気がこたつの中に入って寒いだろう。」

「お前は猫か!いいから出ろ。足が伸ばせねー。」

「嫌だ。」







そう言ってさらに手足を丸め、奥に入り込みこたつは先ほどのような状態になる。
こんな狭い中よく入れるなんてやっぱりこいつ小さいんだなあとほのぼのと思えるほど俺は器量が大きくない。


なんとしても引きずりだす。






俺は決断したら行動が早い。勢いよく再度布団をめくる。ルキアが文句を言おうとしたが言われる前にルキアの脇の下に手を入れ、引きずりだす。

だが、やっぱりこいつはそんな素直に出てくるやつじゃなかった。こたつの脚に自分の足を絡めてなんとしてもこたつの中にとどまろうとする。








「貴様腕を離せ!」

「お前こそ足をこたつから離せ!」

「離したら貴様は寒い所に引きずりだすのだろう!?」

「寒い所って言っても室内だろうが!別にこたつに入るなとは言わねーけどちゃんと上半身だせ!あーあ白哉の妹のお前がそんな行儀悪くていいのかなー。白哉悲しむだろうなー。」








ブラコンなこいつにとって白哉という存在は絶対。行儀だとか白哉らしいことを言えば途端に大人しくなる。
直ぐに足の力が緩まり、無事引きずり出した。
不満そうな顔をしているが文句は言わない。普段感謝なんかしないけど、こんな時ありがとうお義兄様。





遠回りをしたが、ようやくこたつの暖かさを堪能できるとホッとしたのもつかの間。

俺がこたつに入った瞬間、ルキアは俺の脚の間に座り、こたつに足を突っ込む。








「これならちゃんと座っているから問題なかろう?“背もたれ”も温かいしなあ。」





にやーと笑いながらルキアはそう言う。

ああ俺は背もたれなのね。やっぱりこいつには叶わない。



まぁやられっぱなしも悔しいので俺も抱き枕かクッションとして活用させてもらう。抱きしめて体温を奪い取ってやる。

うん、温かい。




お互いの体温が行き来して心地よい。んでこたつの中では同じ空間、同じ温度。

なんかハマりそう。こんなこたつの楽しみ方。


END

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