サンタクロース代行
*クリスマス小説
深夜3時、そろそろ押し入れの中にいる居候もさすがに熟睡しているだろう。
俺だって普段はこんな時間寝ている。ていうか眠たい。虚退治やらなんやらで睡眠不足だというのに起きているのはこの居候のせいだ。
今日、いや日付越えたから昨日か。世間はクリスマスイブというやつで大騒ぎ。昼間はいつものメンバーでパーティー。夜は家族でパーティー。いずれもどんちゃん騒ぎ。何で俺の周りって騒がしい奴ばかりが集まるんだろうとたまに疑問。まぁそれは置いといて普通にクリスマスを楽しんだわけだ。
もちろんルキアもそれは同じだ。問題はパーティーが終わった後の言葉だ。
「今宵サンタ殿がプレゼントを持って来てくれるそうだな!楽しみだ!」
サンタに殿とか突っ込みたかったが、何よりこいつがサンタクロースを信じていることに驚きだった。
サンタクロースなんていない、あれは子供騙しだとか言おうと思ったけどキラキラと純粋な子供のような目をしたルキアにそんなこと言えなかった。
ということで今俺はサンタになります。あ、なんかこの発言気持ち悪い。まぁ死神代行改め、サンタクロース代行だ。
プレゼントはコンビニで買ったうさぎのマスコットという手抜きだが、時間がなかったのでしょうがない。
とにかくこれを枕元に置いてしまえばいいんだ。さっさと済まして寝よう、うん。
そーっと押し入れをあける。よく寝ている。この様子じゃ起きないだろう。
俺はホッとしてプレゼントを置いてしまおうとしたが、ガクンと体制を崩してしまった。ルキアの腕によって。
ちょ、俺抱きつかれてるじゃん!
危なくルキアの上に倒れるとこだったが、何とかとどまる。
起きてんのかこいつと思ったが、寝ている。んでチャッピーだとかほざいている。俺はうさぎですか。
いやいやこの体制はやばい!いやおいしい体制ではあるけど。
いやいや本当やばいって!
しかもさらに引き寄せようとしてくるし!ささやかな胸が目の前に迫ってくる!あ、ささやかな胸って誉め言葉だよ一応。
いやいやそんな場合じゃないって!
だけどこいつの腕の力が弱まる気配を見せず、さすがに上半身だけで抵抗するのは疲れて、もう諦めてささやかな胸に顔を埋めようと思ったその時、ルキアの目が開いた。
「きゃあああああ!!」
危うくソウルソサエティに魂葬させられかけた今年のクリスマス。
うん、もうサンタクロース代行はやめておこう。死神代行だけで充分だ。
END