煙草味はまっぴら
*パロ注意
屋上の壁にもたれて煙草に火をつける。別に吸いたいわけじゃないけど、何となく吸おうかなって感じ。ニコチン中毒3歩くらい手前くらい。3歩って微妙だな。
暑くもなく寒くもない過ごしやすい。とても昼寝日和。ごろりと寝転がって、目を瞑ると階段から足音が聞こえ近づいてくる。にやける顔を抑え、寝転がったままでその足音がくるのを待った。
「黒崎!未成年の喫煙は法律で禁止されておるぞ!」
瞼を開いてみると予想通りの小さな黒髪の少女が腰に手を当てて立っていた。
「全く授業をサボるだけでなく喫煙とはヤンキーだな。」
「別にヤンキーじゃねーよ。委員長こそサボってるじゃん。」
「私は貴様を連れ戻す約束で教室を出てきたのだ。ほら、さっさと煙草をしまって教室に戻ろう。」
「嫌だね。」
彼女の華奢な腕を引っ張って、自分に引き寄せてわざと耳元で喋る。
「せっかく委員長と二人きりになれたんだから。」
煙草の煙を委員長に吹き掛ける。委員長は顔をしかめたが気にしない。
「煙草もさ、委員長が口塞いでくれたら止められるんだけどな。」
「ならそのまま吸い続けて早死しろ。」
「うわ、ひっでー。」
「それに私は苦い味がするファーストキスはごめんだ。」
そう言って腹に鉄拳をくらわして簡単に俺の腕から抜け出した。
あーあ残念。まぁファーストキスという情報を手に入れたのは収穫だ。
「ほら、早く教室行くぞ。授業が終了してしまう。」
「へいへい。」
授業はめんどくさいけど、アピールが失敗したんだからしょうがない。残念だけどまだまだ顔を赤らめてもくれやしない。まぁ長期戦は覚悟の上だけど。
「ほれ、ガムを噛んで少しは喫煙量を減らせ。」
そう言って渡されたガムはレモン味で“ファーストキスはレモン味だ”と彼女は笑った。
END