お姫様と従者





「今日の体育天気いいから外だって!」








体育委員がクラスメイトにそう伝える。
皆好き勝手に肌が焼けるとか、暑いとか言っている。まぁ確かに小学生じゃあるまいし、高校生で外で体育だと喜ぶ人なんていないか。







「たーつきちゃん!今日天気いいから楽しそうだよね!」

「そうだな、日差しの中で汗を流してこそ運動だ!」




ニコニコと私にそう言う織姫と朽木さんは嬉しそうだ。
この子達は例外だなーと笑ってしまう。




着替えてグランドに行く途中、ふと朽木さんの足元を見ると彼女の靴は登校用のローファーだった。







「朽木さん、スニーカーに履き替えないの?」

「ああ、持っていなくてな。近々に浦原に頼もうとは思っているが。」

「このままじゃ傷んじゃうよ。私もう一足持っているから履き替えな。」







私は部活で外練もあるし、よくスニーカーが履き潰れる。だから予備を一足学校に置いている。
だからたまにこういう風に忘れた友達に貸しているんだ。












「やっぱり少し朽木さんにはサイズ大きいみたいだね。」





履き替えた朽木さんを見ると歩きにくそうだった。まぁローファーで運動するよりはマシだろうけど。






「紐をぎゅーってしたらいいんじゃないかな?
ん?朽木さん靴紐結んでないよ?」

「紐?ああ、この部分を結ばなければならぬのか。」








織姫は“ソウルソサエティーにはスニーカーないもんね”と頷いた。私はよくわかんないけど前に見た幼なじみの死神の姿を見る限りはスニーカーなんてなさそうだ。

朽木さんは靴紐を結ぼうとしたが、あろうことが足首に巻こうとした。







「いやいや履き方違うから!」

「む、そうなのか?」

「おい、どうしたんだ?」






私達が騒いでいるのを聞きつけたのか、オレンジ頭の幼なじみが近づいてきた。








「何でスニーカーこんな風に履くんだよ。」

「わからぬのだから仕方がないだろう!」

「だからここを蝶々結び。」

「蝶?捕まえるのか?」

「んなわけねーだろ!あーもう貸せ!」








そう言って一護はかがんで、彼女のスニーカーの紐を結んでやっていた。




そう、まるでその姿はお姫様に跪く、従者みたい。




でもまぁ....








「従者って柄じゃないか。」

「何か言ったか?」

「いーや何でも!それより一護、少しは人の目を気にしたら?」








“何言ってるんだこいつ”という顔をした幼なじみに苦笑した。


END

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