ホワイトクリスマスには程遠い。(4/6)



 けして広いとは言えない浴槽は、ふたりで入れば自然と身体か密着してしまう。

 それなのに「さわらないで」と怒る亜子ちゃんは心が狭い。

 今日もなるべく距離をとる彼女を、無理矢理に抱き寄せた。胸にちょうどおさまるこのサイズと、感触が好きだ。



「亜子ちゃんて肌きれいだよね。すべすべ」

「やっ、やだっ……!変なところさわらないで……!」

「これからいっぱい触るのに」

「……えっち」



 髪にそっと口づけ。振り向いた彼女のやわらかな唇にも、また。

 あまくてあつい。

 ずっと触れていたいきみの唇。かすかな水音に紛れて漏れる、甘く熱い吐息を飲み込む。

 甘いものは苦手だけれど、きみはまた違ったトクベツ。名残惜しく唇を離せば、熱に蕩けた表情をしていた。――たぶん、俺も。



「たかくん……」

「ん……亜子」



 額と額を合わせ、ぐりぐりとすり合わせる。シャイな俺たちの愛情表現。


 あれ程冷たかったきみの手は、もう熱い。


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