子供っぽいかしら(4/4)
「このキスの先は大人しか――」
「たかくん時々へんなこという……」
「――ん? んんん? 酒飲んでる?」
「ちょっとだけ」
「あー」
さすがに酔っている彼女を抱くなんて真似はできない。紳士だから。紳士だから!
いやでもなんだか先程のボディタッチで妙な感情が――いやいや!気のせいだ!そう、気のせい。
そんな葛藤に葛藤に葛藤。
さらに葛藤を重ねると彼女が静かになっていることに気がつく。
寝ていた。
すやすやとお休みになっていた。
腕に抱き着いたまま、ちいさくなって静かに眠っていた。
そうだ。
アルコールが入ると眠くなる質の子だった。さすがに外で眠ってしまうことはないようだが、家に着くと安心して眠ってしまうのだという。
「…………はあ」
可愛いなあ。
俺といると落ち着く、安心する、気を許してくれている。それはとても喜ばしいことだけど。でも。
起こしてしまわないようこっそりと毛布を引っ張り出し、一緒に被る。
やはり彼女はあったかい。
栗色の髪を結っていたシュシュを外すと、彼女の髪が広がった。優しく撫でると口元が柔らかくほほ笑む。
――ああ、確かに寝顔は子供っぽいかもなあ。
そんなことを思い、毛布と一緒に彼女を包みこむ。
そういえば子供って、眠たくなると身体があたたかくなるんだっけ。
笑いかけると彼女の頬はぽっと赤らんだ。
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不器用恋愛