ハイキュー!! | ナノ




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「…あのっ」

…君は、こんなにも簡単に

「蛍くん………好きです…!!」

僕の決意を打ち砕くんだ。


僕らに足りない愛項目



光璃が顔を真っ赤にさせて告白してきたあの日以来、僕たちは“恋人同士”という関係になった。
らしくない一目惚れ。けど、僕みたいな奴が彼女に好かれるなんて無理な話だと、諦めかけていた時だった。もう忘れようと決意したその日、光璃が僕にそう告げた。
…だけど。

「ねえツッキー、篠原さんと付き合ってるんだよね?」
「…山口うるさい」

ごめんツッキー、という山口の質問の意味は分かっている。
“恋人同士”とは名ばかりで、僕たちはそれらしいことを一つもしない。
…光璃は僕に何も求めなかった。
休み時間に顔を合わせれば二、三の言葉を交わしたりはする。放課後にはほぼ毎日、僕たちが部活に使っている体育館に光璃が顔を出す。…でも、それだけ、だった。
キスをするわけでも、手を繋ぐわけでも、昼休みに行動を共にするわけでも、休日に出掛けるわけでもない。
付き合う前と違うことはと云うと、光璃と話す回数が増えたことと、彼女が部活を見に来るようになったこと、くらい。

「光璃ー、あんた月島と付き合ってんでしょ?」
「!」

たまたま通りかかった教室の中から、デジャヴのような言葉が聞こえてきて、思わず足を止める。
質問した方の声には聞き覚えがあるから、多分いつも光璃と一緒にいる女子だ。

「その割には全然イチャついてないよねぇ?」

今度は知らない声。クラスの違う女子かな、なんて何となく考える。

「い、イチャつくって…!!//
だって、月島くん忙しいだろうし…私はバレーをやってる月島くんを見て好きになったわけで、その…邪魔にはなりたくないっていうか………今のままでも十分幸せだし、他の女の子より、少しでも近い距離で見ていられるなら…それで、いいし…。むしろ、これ以上親密になったらショートしそうっ…」

しどろもどろになって答える彼女の姿が目に浮かび、僕は微かに口角を上げる。
実際、頬を真っ赤にしているのだろう。教室の中からは光璃をからかう女子たちの賑やかな声が聞こえてきた。
…遠慮がちな彼女と素直になれない僕。
そりゃお互いの距離が縮まらないのも当然だった。

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