君のチョコは誰のもの


ビ「外国の風習?」
業「そ。海外では男性が女性にプレゼントするんでしょ?結花を驚かせようと思って」
ビ「ああ、そういうこと。…あんたもたまには良い事考えるじゃない、カルマ。そういうことなら協力してやるわ」

…バレンタイン間近。
ビッチと赤髪少年が、怪しげな密会中…。


―――――
―――



神「結花ちゃんは今年のバレンタイン、何作るの?」
『うーん…まだ考え中…』
カ「カルマ君と付き合って初めてのバレンタインでしょ?やっぱ気合入る?」
『うん…まあ…//』
カ「いつもイチゴ煮オレとか飲んでるし、イチゴ味とかでも良さそうだよねー」
『…イチゴ味…』
神「結花ちゃんのお菓子、美味しいから楽しみにしてるね!」
『あんまり期待しないで〜(汗)』

…バレンタイン前日。
ガールズトークはバカップルを中心に盛り上がる。


―――――
―――



…バレンタイン当日。男子たちはソワソワと落ち着かず、女子たちから漂う甘い匂いに気を取られる。殺せんせーは顔の点の数が普段の倍に増えていた。

ビ「さすがに甘い匂いがするわね」
桃「ビッチ先生、ハイこれー」
メ「あ、私も」
莉「ビッチ先生はお菓子作ったりしないのー?」

教室に入って来たイリーナに、一斉にお菓子を持って集まる女子たち。
授業を習っている先生には男女問わず、女子同士での「友チョコ」というものすらあるのに、何故自分たちだけ何も貰えないのだろうという、男子群の心の叫びが女子群の喧騒にかき消されていった。
…そんな中。

業「結花♪」

…一人だけ確実に貰えることが決まっている赤羽業。その背中に突き刺さるクラス中の男子の殺気など気にも留めず、女子群の中に割って入る。

『あ、カルマくん』
業「…♪」
『…』
業「………?」
『………』
業「…結花…?俺にもちょーだい?」
『あ、うん。…でもカルマくんには最後にあげたいから…その、』

結花の沈黙に若干冷や汗をかいていたカルマは、照れながら上目づかいに言われた言葉に胸を撫で下ろし、笑みを浮かべた。

業「いーよ。じゃ、帰りにね」
『うん!』

…一安心、とばかりに自分の席を向かったカルマ。がしかし、次の結花の一言に驚愕の表情で振り返ることとなる。

『…じゃ、皆にもあげるねー』
業「!?」

一瞬、「皆」とは女子のことかとも思ったが、女子同士のお菓子交換は今朝していた。
…つまり。
認めたくはないが、クラス中の男子にも小さな包みを渡していく恋人の姿は紛れもない現実な訳で。
…がっくりと肩を落とすカルマは放課後、結花と一悶着する。が、自分への物だけが他のとは違うと聞いて機嫌を取り戻す。そして、仲直りをした頃にようやく思い出したカルマのプレゼントに、結花が顔を真っ赤にするのはその数十分後…。



君のチョコは誰のもの

…もちろん、俺のでしょ。

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