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夏休み最終日。
カルマくんのおかげで、宿題が最初の一週間くらいで片付いていた私。
カルマ君はほぼ毎日うちに遊びに来ていたので、両親ともすっかり顔馴染になっていた。
そして今日も、カルマくんは私の部屋で寛ぐ…。
…コンコン
『?』
突然、窓に何かが当たるような音がして振り向くと…
『ひゃっ!?』
業「!?結花、どーかし…って、何してんの、殺せんせー…」
窓にべったりと張りついていた殺せんせーに軽く悲鳴を上げた私と、その悲鳴に反応して振り向いたカルマくん。
業「『“夏祭りのお知らせ”?』」
殺「今日思い立ってクラス皆に声かけてます。用事で断る人が意外に多くて傷ついてます」
泣きながらそう言う殺せんせー。
…何だか可哀想になってきた。
業「どーする、結花?俺はどっちでもいいけど?」
『じゃあ、せっかくだから行こう?殺せんせーもなんか可哀想だし…』
業「おっけー」
…殺せんせーはホッとした顔をして飛び去って行った。
―――――
―――
―
…午後7時、椚ヶ丘駅前。
カルマくんと一緒に来たのに、いつの間にか私はカルマ君とはぐれてしまった。
『むぅー…』
渚「あ、結花!来てたんだね」
カ「あれ?結花一人なの?」
『それが…』
訳を話すと、二人は顔を見合わせた。そして同時に同じ方向を差す。
そこには…
『…あ、カルマくん』
糸くじのお店でおじさんと何か喋ってる。
…カルマくん、悪い顔してるなぁ…声かけるのはもう少し後にしよう…。
お祭りの会場をふらふら歩いていると、玩具を両腕に抱えて落ち込んでいる千葉くんと凜香ちゃんを発見。…射的でやりすぎて出禁になったんだって。銃得意だもんね、二人とも…。
更に歩けば、袋二つにみっちり金魚を詰め込んでいる磯貝くん。…もはや風流の欠片もない…というか、気持ち悪い…。
向こうでは渚くんとカエデちゃんがヨーヨーをひょいひょいと掬っていく。
『………。』
何だかあちらこちらでクラスメイトが異様に目立っていた。
しかも、よく見たらE組の人が潰してしまった屋台のスペースに殺せんせーが店を増やしていく…。
あ、わたあめ買おう。
…戻ってきたカルマくんと、人の少ないところで花火を見た。
…明日から、二学期だなぁ…。