85
午後9時、ディナー開始。
会場に入って来た烏間先生は計画通り、お姉さまの待つ外のテーブルへと追いやられた。
皆は夕食そっちのけで窓に張りつき、二人を見守る。
…ここまで会話は聞こえないけれど、お姉さまが悲しそうな顔をしたのを、私は見逃さなかった。
『…お姉さま…』
もしかしたらこの恋は…実らないのかもしれない。
業「やっぱビッチ先生のこと心配なんだ?」
『!、カルマくん…』
業「結花が興味持たないはずないよね、そりゃ」
『うん。お姉さまのことは、大好きだもん。でも…だからこそ、早くお姉さまが振られた方がいいと思って…傷が浅いうちに…』
業「結花…?それ、どういう…」
神「結花ちゃん!ビッチ先生が戻って来たよ」
『!』
お姉さまは室内に入って来るなり、他の皆からブーイングの嵐を受けていた。
『お姉さま…!』
ビ「あ、結花!こいつらうるさくて邪魔なんだけど、何とかできない!?特にこのエロダコッ!!」
…もっと、落ち込んでるかと思った…。あの時、何だか悲しそうな顔してたから…。
『…でも授業の時は皆にすごいキスするじゃないですか。いつもの勢いはどこ行ったんですか、お姉さま?』
ビ「Σ!?ちょ、結花まで…っ!」
私も皆と一緒に騒いだ。
お姉さまはいつもみたいに怒って言い返す。
殺せんせーは酔っぱらっているオヤジのようにお姉さまに絡んで…。
あとどれくらい、お姉さまの恋が続くのかは分からないけれど…もう少しだけ、この浮かれた空気のままでいたいと思った。