あんさつ。 | ナノ

83

「「「暗殺…肝試し?」」」

烏間先生の努力も虚しく、無事に元の姿に戻った殺せんせーは、既に白装束を着ていてやる気満々だった。
男女のペアで300メートルの海底洞窟を歩いていくらしいんだけど、ペアの決定権は殺せんせーで、何故か私とカルマくんはバラバラに。

『なんかごめんね、磯貝くん…』
磯「別に時雨が謝ることじゃないだろ?」
『や、でも多分…ここ出たらカルマくんに半殺しくらいにはされそうだし…』
磯「予想はしてたけど…不吉なこと言うなよ…(泣)」

私とペアになってしまった不幸な磯貝くん。奥田さんと一緒に先に洞窟に入って行ったカルマくんに、これでもかというほど殺気を向けられていた。あぁ、可哀そうに…。
肝試しよりも終わった後のカルマくんの方がずっとずっと恐そうです。

磯「時雨はこういうの、平気なタイプ?」
『あ、全然平気〜。しかもお化け役、殺せんせーだし』

E組で誰が一番幽霊とか苦手って聞かれたら、真っ先に殺せんせーが浮かぶ。
…脅かす方なら平気なのかな?

『…あ、殺せんせーだ。何かあるのかな?』

…って、何このベンチ。
肝試しのムード台無しじゃん!!
その後も、イチャつけとか、ポッキーゲームとか…殺せんせーの狙いは予想してたけど、もはや呆れるしかない。
というか…

『これ、出てからが本当の地獄だね…』
磯「(泣)」

カルマくんあんまり怒らないといいけど………って、無理か。
磯貝くんにそんなつもりが無くても、これだけ接近するのが多いと、ね…。

殺「ひーッ!!」
『!?』

この後のことを想像して項垂れていた磯貝くんに苦笑していた時、ガンガンと何かが洞窟の壁にぶつかりながら、猛スピードでこっちに向かってきた。…間違いなく殺せんせーだ…。

『どうせ誰かに脅かされてパニックになってるだけだとは思うけど…』

行ってみよう。と磯貝くんの手を引いて洞窟の出口へと急ぐ。
外では、暴れ回って疲れ切った殺せんせーが、皆に呆れた目で見られていた。

業「…随分と、仲良くなったみたいじゃん、磯貝…?結花と手なんか繋いじゃってさ」
磯「!!」
『…あ、忘れてた』

引っ張る為に握ってそのままだった磯貝くんの手を見て、何だか申し訳なくなってくる。
後ろからぬっと現れたカルマくんに連れ去られた磯貝くんの叫び声が、洞窟前の林の中に響いたとか響かなかったとか…。
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