あんさつ。 | ナノ

80

鷹「謝罪しろ。土下座だ」

その言葉に従い土下座した渚くんの頭を踏みつける鷹岡。

渚「本当に…ごめんなさい」

それでも地面に頭を付けて謝る渚くんを見下ろす鷹岡に、言いようのない怒りが込み上げてきた。なんで…渚くんが謝ってるの…何も悪いことしてないのに…っ。
…満足そうに笑った鷹岡は、爆弾のスイッチとスーツケースを手に、ウイルスに感染した人がどうなるのかを話し始めた。
…まさか………

鷹「見たいだろ?渚君」
渚「!」
烏「やッやめろーーーッ!!」

   ドウゥゥン
烏間先生の叫び声と爆破音は、ほぼ同時に空に響いた。爆破されたスーツケースから、治療薬の瓶の破片が降ってくる…。

『…嘘…』

そんな…。
ここまで…皆で頑張ってきたのに。
渚くんは、皆のために理不尽な土下座までしたのに。
…私たち何も…悪いことなんてしてないのに…どうしてこんな目に遭わなきゃいけないの…?
足の力が抜け、私が地面に座り込んだその時…。
   …カチャッ

『…!』
渚「殺…してやる…」

ナイフを拾い上げた渚くんの目には…殺せんせーに向けるのとは別の種類の、殺意。

鷹「ククク、そうだ。そうでなくちゃ」

鷹岡は満足そうに笑ったけれど…私たちは皆、同じことを考えた。
“渚くんを冷静にさせないと…今のままじゃ、危険だ…!!”
殺せんせーが指示を出し終える前に、寺坂くんは渚くんの頭めがけてスタンガンを投げた。

寺「チョーシこいてんじゃねーぞ渚ァ!!」

寺坂くんに続いて、殺せんせーも渚くんを諭す。…けれど、渚くんの目から殺意は消えない。
   ドサッ
寺坂くんは叫んだ時に体力を使った所為か、座り込んでしまった。
吉田くんと村松くんが驚きの声を上げるなか、寺坂くんはこっちを向いた渚くんを見つめる。

寺「…やれ渚。死なねぇ範囲でブッ殺せ」

…渚くんは拾ったスタンガンを腰に納めた。
それでも少し、私はほっとした。
…渚くんの目の、殺意の種類が変わったから…。
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