あんさつ。 | ナノ

76

6階 テラス・ラウンジ。

業「女子だけで見張りを何とかする!?無茶だよ、そんなの!」

珍しくムキになるカルマくん。…皆大体、理由は分かってるんだけどね。

『大丈夫だよ、カルマくん。他の皆もいるし、一人で敵と戦うよりずっと安全だから、ね?』

私に続いて、他の女子にも「何かあっても結花ちゃんは私たちが守るから」と言われ、カルマくんは渋々引き下がった。


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―――



『…渚くん、羨ましいくらい可愛いんだけど。』

男手は欲しいけどチェックは厳しい。そんな状況で考えることは皆同じだったのか、女装した渚くんが私たちと一緒に来ることになった。
フロア内を歩いていると、声を掛けてくる男の人が後を絶たない。…一人目は渚くんに興味を持っていたようだったので、そのまま渚くんに任せた。2回目は矢田さんがヤクザのバッジを見せると逃げて行った。…私も一緒に見せてもらったけど、ヤクザや暴力団、弁護士や警察官、地主や政治家まで…色んなバッジがごちゃ混ぜになってミカン箱に大量に入っていた。
…大事に保管するとか飾っておくならまだしも、ミカン箱って…(汗)。
そんな話をしながらも奥へと進み、待機中の男子たちがいる裏口まで来れた。…けど、やっぱり見張りがいて困る。かといってあの見張りを倒してしまうと、私たちのことがばれてしまう。
…どうしたものか…と、皆で考えていると、さっき絡んできた男の子が渚くんを追いかけてきて、何故か突然踊りだした。…あ、渚くんにいいとこ見せようとしてるのね。
邪魔くさいな〜と、皆が思っていたその時、踊っていた男の子の手が、近くにいた人のグラスに当たった。しかも見るからにヤバい人。
…あ、そうだ。

『…ちょっと、離れてて?』
カ「結花、危ないよ?」
『ううん、大丈夫っ』

不思議そうな顔をするカエデちゃんに笑顔で返し、私はイカツい男の人の胸ぐらを掴んだ。

『…はっ!』

ちょっと気合いを入れて男の人を背負い投げし、床に叩きつける。

「「「「!!」」」」
『ね?大丈夫!』

…笑顔で振り返ると、皆がぽかんとした顔で私を見ていた。
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