あんさつ。 | ナノ

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ビシバシと、全ての攻撃を避けるか捌いているカルマくん。…あの動き、何処かで…?

殺「烏間先生の防御テクニック、ですねぇ」
『あっ』

そっか。体育の時間の、烏間先生のナイフ捌きだ。
教えられたわけでもないのに、見ただけで真似できちゃうのがすごいなぁ…。
…攻められる一方だったカルマくんが、今度は攻め始めた。カルマくんの蹴りが効いたらしく、背中を見せたおじさん。チャンスだ!と思ったその瞬間…。
   ブシュッ
…あれは…烏間先生が喰らった麻酔ガス…!

『カルマくんっ!!』

頭を掴まれ、ぷらりと持ち上げられるカルマくん。おじさんがその指に力を込めれば、きっとカルマくんの頭は潰されてしまう…。
…嘘…やだ、嫌だよ…カルマくん…!!
   ブシュッ
…え…?

業「奇遇だね。2人とも同じこと考えてた」

ニヤリと笑うカルマくんの手には、あの麻酔ガスを噴出する道具が。
ガスを吸ってフラフラになったおじさんは、ナイフを出してカルマくんに突進して行ったけど、カルマくんに取り押さえられた。
おじさんの体をグルグル巻きにして一安心したところで、私は急に涙が出てきた。

『カルマくん…良かった、無事で…っ』
業「信じてって言ったでしょ?…もー分かったから、泣かないでよ結花」

これから面白いことするからさ。
困ったように笑いながら私の頭を撫でてくれたカルマくんの言葉に、何だか不吉な想像をしてしまう。…カルマくんの“面白いこと”って、大体は可哀想なことになるんだよね…(相手が)。
予想通り(?)、喜々としてカルマくんが取り出した物はわさびとからし(チューブタイプ)。いつもの悪戯っ子顔で何をするのかと思えば、おじさんの鼻にねじ込むらしい。…それはもう、楽しそうな顔で。
満面の、輝くような笑みを浮かべて、全身をガムテープで拘束されたおじさん(しかも殺し屋)の鼻の中に、わさびをねじ込むカルマくん。
…うーん…シュールな光景だ…。
辛いのか痛いのか、絶叫するおじさんの口にもトウガラシっぽいものを詰め込み、鼻も口も塞いでしまった。…おじさんの、声にならない叫び声を聞いているだけで、気の毒になってくる。
…あとで鼻のクリップだけは外してあげよう。鼻も口も塞がれたら、息できないもんね。
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