あんさつ。 | ナノ

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ホテル内を順調に進み、3階の中広間に入った。

寺「ヘッ、楽勝じゃねーか。時間ねーんだからさっさと進もうぜ」

気が急いでいるのか、慎重に進んでいた烏間先生を寺坂くん達が追い越す。
タッタッ…と廊下の方へ走って行く二人。…大丈夫かな。なんか、嫌な予感がするんだけど…。

不「寺坂君!!そいつ危ない!!」

廊下を歩いてくる一人のおじさんを見て、不破さんが叫んだ。烏間先生はとっさに二人を後ろへ引っ張る。それとほぼ同時に、煙のようなものが烏間先生を包んだ。
…何故わかった?と嫌な笑みを浮かべるおじさんに、不破さんはウイルスの入ったドリンクを配っていた人だから、と言った。クラス全員が共通で口にしたのはドリンクと夕食だけど、夕食を食べていない人もウイルスに感染しているから、と。
…ん?ドリンク?あの、トロピカルジュース?…ってことは…。
麻酔ガスを吸ってふらふらな状態で、何とかおじさんを倒した烏間先生。倒れてしまったからどうなるかと思ったけれど、案外平気そうだ。
…あ、早くカルマくんを安心させてあげなきゃ。

『カルマくん、』
業「ん?どーしたの、結花?」

気絶してる毒ガスおじさんの服をごそごそと漁っていたカルマくん。…何してるんだろう…?

『あのね、ウイルスのことなんだけど…』
業「!!まさか結花、具合悪くなってきたの!?」

ウイルス、と聞いてカルマくんの顔色が変わる。…とりあえず落ち着いて下さい。

『ううん、その逆。私、そもそもあのジュース飲んでないの。だから…』
業「良かった…!!」

私の言葉を遮り、カルマくんは私を抱き締める。…相当心配だったんだね…。
…私の好き嫌いの激しさが、こんなところで役に立つとは思わなかった…。
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