あんさつ。 | ナノ

71

『有希子ちゃん…大丈夫?』
神「…うん…何だか…体がだるくて…」

ぐったりと椅子の背に凭れ掛かり、私の問いに苦笑いを浮かべる有希子ちゃんの頬は少し赤い。今日の疲れが出たにしても…何かが少し、おかしい気がする…。

渚「岡島君!!」

   ガシャッ

『Σ!?』

…大量の鼻血を出す岡島くん。水着を想像しただけで…というか、普通に考えてありえない量の血だ。他の人も、テーブルに突っ伏している人がいたり椅子から降りて床に膝をつく人がいたりと、もはや疲れがどうこうの問題じゃない。
一体、何が起こっているの…!?

『有希子ちゃん、とりあえず横になって!頭、冷やすね!』

有希子ちゃんも例外ではなく、私はぐったりしている体を支え、床にそっと横たわらせる。そして、テーブルの上にあった二つのグラスの中の氷を一つのグラスにまとめ、有希子ちゃんの頭に置いて冷やす。

神「あり、がと…結花、ちゃ…」

意識が朦朧としているのか、焦点の合わない目で笑ってお礼を言う有希子ちゃん。…支えている腕から伝わってくる有希子ちゃんは、酷い熱だった。
…どうしたらいいんだろう…。怖いよ、カルマくん…!!
有希子ちゃんを抱えたまま、ぎゅっと目を閉じた。

業「結花っ!!」
『…カルマくん…!』

異変を感じて私を探しに来たらしいカルマくんは、座り込む私を見て血相を変えて駆け寄ってきた。

業「結花、大丈夫!?熱はない!?血が出たりしてない!?お腹痛くない!?」
『う、うん…私は大丈夫…でも、有希子ちゃんが…っ』

カルマくんが来てくれたおかげで少し安心したら、涙が出てきた。

神「…ふふ…やっぱり、業くんは…結花ちゃんの、ことになると…必死だね…。ね、結花、ちゃん…泣かない、で…?大丈夫、だから…」
『!…うんっ…!!』

心配そうに私を見上げる有希子ちゃん。…自分の方が辛い筈なのに。
…泣いている場合じゃないよね。きっとこれは、ただの風邪とかじゃないだろうから。何とかしなきゃ。有希子ちゃんを助けてあげなきゃ…!!
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