あんさつ。 | ナノ

70

触手を同時に破壊し、水圧の檻を作り、弾幕で逃げ道を塞ぎ、陸上を警戒させ。…千葉くんと凜香ちゃんの二人が止めを刺す!
瞬間。
閃光と爆風が、私たちを包んだ。

『…殺った…の、かな…?』

小屋の床だった板につかまって、あたりの海面を見渡す。
…なんだろう…やっぱり、殺せんせーを殺せた気がしない…。

業「結花っ!」
『あ、カルマくん…大丈夫だった?』

フライボードだったカルマくんは、殺せんせーの烈風をもろに喰らったはず。

業「俺より結花!…泳げないのに吹き飛ばされて…心配したんだから」
『あ、そっか…。…ありがとう、心配してくれて…』

ぎゅっと抱き締められて、思い出す。そういえば私、泳げないんだっけ。
聞くとカルマくんは、私が溺れていないか、海の中を一通り見てから私がここにいるのを見つけたんだとか。
…ぼんやりと考えていた私は、必死に私のことを探していてくれたカルマくんに何だか申し訳なくなった。

業「…あ、殺せんせー」
『え…?』

カルマくんが見ている先には…えーと…何アレ?
殺せんせーの顔が入った、透明な球体…?
曰く、身動きが取れない代わりに、どんな攻撃も跳ね返すらしい。

業「結花、掴まってて」
『?』

カルマくんに手を引かれ、殺せんせーの方へ移動する。陸にいたカエデちゃんに、携帯持って来て、と頼んで…。

業「そっか〜。弱点ないんじゃ、打つ手ないね」

カエデちゃんから受け取った携帯の画面には、エロ本を見ている殺せんせーの画像。恥ずかしさから悲鳴を上げる殺せんせーを、携帯の画面がちゃんと見える場所で固定し、いつの間に拾ったのかウミウシも付ける。

業「あと誰か不潔なオッサン見つけて来てー。これ、パンツの中にねじ込むから」
『カ、カルマくん!その人…人?…一応先生だから!もうやめてあげて(汗)』
業「えー…結花がそう言うなら…」

はい、と渡された透明の球体。…ウミウシはちゃんと取ってくれた。

『殺せんせー、おじさんのパンツじゃなくて、お姉さまの胸なら喜ぶ?』
殺「いいですねぇ…」

ふふふ…と緩みきった顔をする殺せんせーを、後ろに立っていたお姉さまに渡す。

ビ「冗談じゃないわ!誰がこんなタコ!!」

海に殺せんせーを投げようと振りかぶったお姉さまの手から、いつの間にか殺せんせーが消えた。

烏「……とりあえず解散だ、皆」

お姉さまから殺せんせーを取り上げた烏間先生は、球体をビニール袋に入れてホテルへ戻って行った。

業「…戻ろっか、結花」
『うん』
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