あんさつ。 | ナノ

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…一学期も無事に終了し…夏休みがやってまいりました。
ここ数日はさっさと宿題を終わらせるべく、お互いの家を行き来していた毎日ですが…。

『♪〜』

…今日は夏祭りという事で、今私は、鼻歌混じりに浴衣を着ています。
カルマくんに行こうって誘われて、「浴衣着て来てね」ってブラックスマイルで言われて。…ちょっとめんどくさい、とか思ってないよ!!

ピンポーン♪

『あ、カルマくんだ!』

「時間になったら迎えに行くから、絶対に家で待っててね!」と、これまたブラックスマイルで言われ、少し申し訳ない気持ちになりながらもカルマくんが来るのを家で待っていたのだ。

『カルマくん、お待た…せ……』

下駄をはいて玄関のドアを開けて、びっくりした。…カルマくんも、浴衣…着てる…。黒い、ドクロの浴衣…。
…カルマくんは普通の私服で来ると思っていたから、何だかうれしい。

業「結花、可愛い。脱がせたくなっちゃう」
『カルマくんっΣ!?//』

会って早々に過激な事を言うカルマくんに赤面。…でも本当に、カルマくんの浴衣姿はいつもの数倍色っぽくて、髪を縛った所為で見えているうなじに唇を寄せられたら、もうドキドキしない訳がない!

業「冗談冗談。行こっか」
『うん!』

差し出された手を取って、下駄の涼しげな音を響かせながら二人で歩く。お祭りの場所は、家からそんなに遠くなかった。

業「結花、とりあえずこれ持ってね。うんうん。で、金魚すくいしよ」
『?うん』

着いてまず持たされたのは、リンゴ飴。で、空いている方の手を引かれて金魚すくいの方へ連れて行かれる。
…何でカルマくんはあんなに満足そうなんだろう…。

業「あ、渚君じゃん」
渚「あ、カルマ君に結花!」
カ「あ、結花!」
『渚くん、カエデちゃん!!』

金魚すくいの所にいた二人に駆け寄る。“二人とも”浴衣姿が可愛い。

渚「神崎さんとか杉野くんも、さっき見たよ」
カ「結花の浴衣かわいいね〜」
『本当!?じゃあ歩きながら探してみる!ありがとう、カエデちゃん!』

ばいばい、と二人に手を振って、金魚すくいを始めた。
カルマくんが「競争!」って言うから、頑張ったら…水槽の中の金魚が全部いなくなっちゃって、金魚すくいのおじさんが泣きそうな顔していた。カルマくんもポカンとしている。…でもこんなにたくさん金魚連れて帰ったら絶対にお母さんに怒られるから、2匹だけ貰ってあとは返した。
…金魚すくいのおじさんが、綺麗なビードロをカルマくんと私に一つずつくれた。

業「結花があんなに金魚すくいできると思わなかった。あのおじさんの顔見た?」
『もー、カルマくんいつまで笑ってるの?カルマくんが“競争!”なんて言いだすから悪いんだからね!』
業「ごめんって。でも、これ貰えたんだから良かったんじゃん?」

カルマくんがビードロを透かしながら言う。
…確かに、金魚を返してこんな綺麗なのが貰えたんだから、得したんだと思う。…けど。
なんだかちょっと恥ずかしかったので、その後見つけた、有希子ちゃんと一緒にいた杉野くんにちょっと纏わりついてみた。…カルマくんをイラつかせるために。
…と思ったんだけど、杉野くんにとばっちりがいっちゃいました。反省します。

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