あんさつ。 | ナノ

64

業「結花、人のいない所に行く?」

私がだいぶ落ち着いたのを見計らって、カルマくんは私から腕を離して顔を覗きこんだ。

『…ううん…ここでいい…』
業「先生とかいるし、皆もうすぐ来ちゃうよ?」
『…うん、いいの』
業「分かった」

顔を覗きこんできたカルマくんと視線を合わせて問答したあと、カルマくんは頷いて私の頭を撫でる。
そして、心配そうにこっちを見つめる先生たちに向き直った。

業「何があったのか簡単に言うと、終業式が終わって戻る途中、浅野が結花を呼び止めた。結花に、戻って来て欲しいって言ってたんだけど…結花はずっと怯えてて、こっちに走って来たんだ」
ビ「じゃあその浅野って奴が結花を虐めてたのね!今すぐ殺してくるわ!!」
殺「ちゃんと話を聞きましょう、イリーナ先生」

いつの間に取り出したのか本物の銃を両手に持って教室を出て行こうとしたお姉さまを、殺せんせーが触手に絡めて引き止めた。

『…私、』

殺せんせーの触手に捕まってもなお暴れていたお姉さまが、私を見て静かになる。

『…私…A組だったんです。元、ですけど…。殺せんせーは気付いているかもしれませんが…私、あっちにいた頃はずっと学年で2位だったんです』
ビ「え!?」
業・神「「!!」」
殺「…何となく、そんな気はしていました。あなたは手を抜いていたつもりのようですが…全ての教科でテストの点を常に“ぴったり40点”なんて、逆に難しすぎますから。偶然にしては確率が低すぎる。…しかし、確信したのは今回の時雨さんの総合順位を見た時でした。…時雨さんは学年2位だった」
ビ「何で…わざわざ成績を下げるようなことを…?」

お姉さまの問いに、私は苦笑した。
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