あんさつ。 | ナノ

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『ねぇカルマくん、勉強しないの?』
業「んー?だっていつもしてないし…いつも通りにしてればいけるって」

学校の帰りにカルマくんのお家にお邪魔して、数学を習いに来た。
いつも通り、カルマくんの説明は分かりやすい。…けど、カルマくんは全く勉強していない。
もはや、シャーペンすら持っていない。
…国語なら、少しだけ役に立てるかもしれないと思ったんだけどな。
カルマくん、国語はちょっと苦手って言ってたから、たまには私も教えられると思ってたのに…。

『むー…』
業「結花、どうかした?分かんないとこでもあった?」
『ううん、大丈夫』

…どうしたらカルマくんのやる気を出せるんだろう…。
   ピロリン♪

『!携帯…』

着信音は、有希子ちゃんからのメールだった。
…どうしたんだろう。図書室で勉強してる筈なのに。

『…!』

ちょっと不思議に思いながら開いたメールを見て、声を失った。

“ちょっとごめんね、結花ちゃん。さっき図書室に五英傑の人たちが来て、浅野さんはいなかったんだけど…一教科ごとに一位を狙うって言ったら、「お前らE組の中で俺たちに勝てるのは時雨さんくらいだ」って小山さんが…。結花ちゃん、どうしてA組の人――しかも、五英傑の人――に「さん」付けで呼ばれてるの?五英傑の人たちが、どうして結花ちゃんに負けることを自分から認めるようなことを言ったの?
その言葉を聞いてから、皆なんだか落ち着かないの。私も気になってるし…。
メール見たら返事して欲しいな。長い分でごめんね? from有希子”
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