あんさつ。 | ナノ

52

吉田君と殺せんせーがバイクの話で盛り上がってる。木で作ったバイクの模型に跨る殺せんせーは、ヘルメットと服までちゃっかり装備。
…さすが殺せんせー、凝ってるなぁ。
と、そこに寺坂くんが乱入。せっかく楽しそうに話していた吉田君と殺せんせーの間に入って、バイクの模型を蹴り飛ばしてしまった。
しくしく…と泣く殺せんせーと、寺坂くんにブーイングする皆。

寺「…てめーらブンブンうるせーな、虫みたいに。駆除してやるよ」

寺坂くんはそう言って、机の中から取り出したスプレー缶を投げた。
中から出てきた煙みたいなものに、皆が口や鼻を手で覆う。
やりすぎだ、と寺坂くんの肩に触手を置いた殺せんせー。

寺「気持ちわりーんだよ。テメーも、モンスターに操られて仲良しこよしのテメーらも」

寺坂くんの言葉で、何とも言えない微妙な空気になってしまった。

業「何がそんなに嫌なのかねぇ…。気に入らないなら殺しゃいいじゃん。せっかくそれが許可されてる教室なのに」
『カ、カルマくん…』

今そんな事を言ったら、寺坂くんをもっと怒らせるだけだよ…とカルマくんの裾を引っ張る。…けど、遅かったみたい。

寺「あぁ?何だカルマ。テメー俺にケンカ売ってんのか?大体、テメーら二人は最初から気に入らなかったんだよ。時雨なんてあっちに戻る許可が出てるらしいじゃねぇか。優等生どもが何でこんなとこに居るんだよ。さっさと戻っちまえよ」
『…っ、』
業「…。ちょっと、結花のこと悪く言うなら…本気で殺すよ?」

寺坂くんの言葉で俯いた私を見て、カルマくんの顔色が変わった。…本気で怒ってる。
ガッ、と寺坂くんの襟元を掴み、目だけが笑っていない笑みを浮かべる。

寺「…ッ!!」

寺坂くんは一瞬怯えたような目をした後、カルマくんの手を振り払って教室を出て行った。

業「…結花?あいつの言ったことなんて気にしなくていいんだからね?」
『…うん。ありがとう、カルマくん』

カルマくんは笑って私の頭を撫でてくれたけど、私はずっと寺坂くんの言葉が耳から離れなかった。
…優等生、か…。
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