あんさつ。 | ナノ

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ビ「結花、」
『あ、お姉さま。どうしたんですか?』

更衣室から教室へ戻る途中、お姉さまが廊下に立っていた。…何だか深刻そうな顔してる。
あ、私を待っていたんですか。

ビ「…あのね…新しい体育の、あの大男…」
『あ、えーと…ペコちゃん…じゃなくて…鷹岡先生ですね』
ビ「そう、そいつ。…きっと、何か裏があると思うの。だから、気をつけて…」

とりあえず、お姉さまが私を心配してくれているのは分かる。だけどお姉さまも上手く言葉にはできないらしく、何となくのニュアンスでしか伝わってこない。

ビ「結花は、好きだから…。他の子がどれだけ扱かれようと大して気にはならないけれど、結花が辛い目に遭うのは嫌だから…」
『!!…ありがとう、先生』

しどろもどろで話すお姉さまの言葉が嬉しくて、笑顔でお礼を言った。
…気前の良い所しか見てないのに警戒心を抱くのはやっぱり、プロの殺し屋の勘?それとも色々な経験を積んできたお姉さまの、女の勘?…どっちにしてもあの先生には気をつけた方が良さそう。
…カルマくんに相談しておこうかな…。

『…カルマくん、』
業「どうした?」
『あのね…』

帰りのSHRの後、私はカルマくんにお姉さまとの会話を話した。

業「ふーん…ビッチ先生がねぇ…。…俺もあんまり、あの先生好きじゃないんだよね。だから、烏間先生に戻んない限り、体育はサボる。でも、結花は出るでしょ?」
『…うん』

いくら怪しくても、授業をサボるのは教えてくれる先生に失礼だ。…このクラスに来てから、そう思えるようになってきた。

業「…授業には出ないけど、結花のことは心配だから、出来るだけ近くにいるよ。万が一の時はすぐに助けられるようにね」
『ありがとう、カルマくん』

笑ってそう言うと、カルマくんは私の顔を胸に引き寄せ、自分は顔を逸らした。…私、カルマくんが赤面するとこ見ちゃったけどね。

(カルマくんもかわいー)
(天然は本当に困る)
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