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負けたことにキレて、黒い触手で暴れ出したイトナ君。
業「結花!」
教室に入って来たイトナ君を見て、カルマくんは私の腕を引いた。
イ「俺は、強い。この触手で、誰よりも強くなった。誰よりも」
『………?』
勢いよく殺せんせーの方に向かってきたイトナ君。でもシロさんが打った何かで気絶し、床に倒れてしまった。
…寝顔は普通の子供と同じなんだなぁ。何だか、強くなることに執着してたみたいだけど…殺せんせーと同じ触手を持っているということは、きっと彼も、人体実験のようなことをされたのだ。殺せんせーと同じように。でなければ地球上にあんな生物が存在する訳がない。
…殆ど化け物にされてまで、イトナ君は何を求めたのだろう…。
イトナ君を担ぎ帰ろうとするシロさんを引き止めようと、殺せんせーが肩に触手を置くも、ドロリと溶けてしまった。
…繊維まで対先生のものがあるのか…。
結局、シロさんを引き止められなかった殺せんせー。…私も話、聞きたかったのにな。
で、殺せんせーはというと。
メ「何してんの、殺せんせー?」
さっきからずっと、触手で顔を覆ったまま。
不思議そうに見つめるメグちゃんに、シリアスな展開に加担したのが恥ずかしいと言う殺せんせー。
殺「先生、どっちかというとギャグキャラなのに」
「「「自覚あるんだ!!(汗)」」」
まさか自分のキャラを計算しているとは…。
ビ「…でも驚いたわ。あのイトナって子、まさか触手を出すなんてね」
お姉さまの言葉で、教室の雰囲気が変わる。
…みんな疑問に思ってたもんね。
皆に詰め寄られて、仕方ないとため息を吐いた殺せんせー。え、喋ってくれるの…?
殺「…実は。実は先生…」
(((ごく…)))
業「…(結花)」
あ、カルマくん。いつの間に隣に…?
業「(静かに。…こっそり学校抜け出しちゃおうよ。どうせあのタコ、肝心なとこだけ誤魔化すつもりだよ。早く帰って、一緒にケーキでも食べに行こ?)」
ヒソヒソ声で話すカルマくん。
こんな音量で気付くのは殺せんせーくらいだけど、殺せんせーは今お取込み中だから、誰も私たちに気付かない。
『(ケーキ、覚えててくれたんだ)』
業「(当然。行こ?)」
『(うん!)』
手を繋いで学校を出た。