あんさつ。 | ナノ

35

放課後、みんなの机を使ってリングを作り、その中で勝負することになったイトナ君と殺せんせー。“リングの外に足が着いたらその場で死刑”というルールに「そんなの誰が守るんだ」と怪訝そうに言う杉野くん。

業「いや…皆の前で決めたルールは…破れば“先生として”の信用が落ちる。殺せんせーには意外と効くんだ、あの手の縛り」
『カルマくんも似たような事してたもんね』
業「うん…まぁ…」

はは…と苦笑いするカルマくん。
同じ方法で殺せんせーを追い詰めたことがあるからこそ、そのルールの意味が分かるんだと思う。

白「では、合図で始めようか。暗殺……開始!!」
   ザンッ
言葉とほぼ同時にまず一本、殺せんせーの触手が斬り落とされる。…が、みんなの目が注目していたのは、床の上の触手ではなく…

殺「…まさか…触手!?」
「「「…!!」」」

みんな、驚きすぎて口が開きっぱなしになっている。
無理もないか。マッハ20の謎の生物(殺せんせー)を殺すために政府から送り込まれた転校生が、まさかその謎の生物と同じ触手を持っているなんて誰も予想していなかっただろうから。
…目には目を歯には歯を、と言ったところだろうか…。

殺「………………こだ」

…瞬間、殺せんせーの顔は、

殺「どこでそれを手に入れたッ!!その触手を!!」

見たこともないくらいに真っ黒で、物凄く怒っていることが分かった。
   …ぎゅっ
その迫力に、思わず隣にいたカルマくんの手を握った。

業「!…大丈夫だよ、結花」

そっと握り返してくれたカルマくん。
…殺せんせーはというと。
特殊な光線を浴び動きが制限され、イトナ君の攻撃に防御することしかできず、かなり追い込まれていた。

『…』

渚くんがナイフを取り出したのが視界の隅に見えて、まさか今殺るの!?とか思ったけど、ナイフを見つめる渚くんは何だか悔しそうで。
…そっか。そうだよね。今まで、どんな小さな弱点でも見つけたらメモして、自分たちなりに頑張って来たのに…。
渚くんの気持ちを察していると…。
…あれ?
さっきまで渚くんの手にあった対殺せんせーナイフが…ない。

『あ。』

リングの中を見れば、イトナ君の触手が溶けている。
…それはずるいよ、殺せんせー…。
イトナ君が焦っている間に、自分の抜け殻でイトナ君を包み、窓から放り投げてしまった先生。…さっきまで結構ピンチだったのに、もう顔が縞模様になっている。
…まぁ…勝ってよかったね、殺せんせー。
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