あんさつ。 | ナノ

34

今日からもう一人、転校生が来るという。
同じ転校生の律の話では、最初の計画では律ともう一人は同時に来るはずだったとか。でももう一人の調整に時間がかかり、律はもう一人の方より暗殺者として圧倒的に劣っているとされて、計画は中止になり律が先に送り込まれたらしい。
…そんな話で教室がシーンとなり、
   ガララッ
(((びくっ)))
突然開いたドアに皆が一斉に振り返った。
…入って来たのは、白い人。もう、全身真っ白。
張りつめた空気に気付いた白い人は、腕をスッと伸ばして……鳩を出した。え、マジック!?…殺せんせーめっちゃビビってるし。液状化までしてるし。
気を取り直して…新しい転校生の保護者・シロさんに呼ばれて、「イトナ」という人が入って来た。………壁から。
(((ドアから入れ!!!)))
きっと今、みんなの心は一つになったと思う。
「壁に勝った」とか意味分かんないこと呟いてるから、殺せんせーも困ってるよ!反応に困って、幼稚園児が書いた落書きみたいな顔になっちゃってる!!

業「…ねぇイトナ君、ちょっと気になったんだけど…」

カルマくん…気軽に話しかけられる勇気は流石だと思う。

業「外、どしゃ降りの雨なのに…何でイトナ君一滴たりとも濡れてないの?」
『…!!』

確かにそうだ。朝からざぁざぁと音を立てて降る雨の中、外から直で(壁を壊して)入って来たのに、イトナ君の体は雨粒ひとつ見当たらない。
するとイトナ君はきょろきょろと周りを見回して…

『…?』
イ「………おまえはたぶん、このクラスで、一番強い。けど、安心しろ。俺より弱いから…俺は、お前を殺さない」

くしゃくしゃと…丁度今朝、カルマくんが私にしたのと同じように、カルマくんの頭を撫でたイトナ君の口から出たのは、何とも物騒な言葉だった。

業「…!!」

そして更に、イトナ君が驚くべき言葉を…。

イ「…だって俺達、血を分けた兄弟なんだから」
「「「!?…き…き…き…き…兄弟ィ!?」」」

…殺せんせー、どんな家族構成なんだろう…とか思ったり。
prev|next

[ text toptop ]