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『面白かったね、英語!』
業「結花はビッチ先生好きだもんねー」
学校を出て歩きながら、今日の英語を思い出す。
…今日も何人か、お姉さまの餌食になってたなぁ。
間違っても正解してもキスされるから…当てられる=キスされると思った方が良いのかもしれない。
渚「ねえ、結花は嫌じゃないの?」
『何が?お姉さまとキス?』
…確かにちょっと恥ずかしいけど、修学旅行の時に班の皆の前で自分からカルマくんにキスしちゃったのを思ったらあんまり気にならないし、お姉さまの近くに行ったらいい香りがするから、そんなに嫌じゃない。
渚「結花じゃなくて、カルマくん。カルマくんがビッチ先生とキスするのは嫌じゃないの?」
『え?…あー…うーん……あんまり、気にしたことなかったなぁ…』
杉「え、嫌じゃねぇの!?…カルマなんて、時雨がビッチ先生とキスする度に周りがドン引きするくらい殺気放ってんのに」
業「あ、気付いてた?だってあのビッチムカつくんだもん。結花のこと気に入ってんだか知らないけど、結花にキスしていいのは俺だけなのに」
神「…確かに、結花ちゃんとキスしてる時間、他の皆より長いかも…」
…カルマくん殺気放ってたんだ(汗)
杉野くんの顔引き攣ってるし…。
私がお姉さまのお気に入りっていうのは初耳だなぁ。本当なら嬉しいんだけど…。
サラッと恥ずかしいことを言って拗ねたカルマくんに、有希子ちゃんが苦笑する。
カ「結花は他人の感情とかには疎いからねー…。でも、せめて自分の彼氏の事くらい気付いてあげないと…」
カエデちゃんも苦笑する。
…そんなに鈍いつもりないんだけどなー。むー…。
渚「それで?どうして結花は、カルマくんとビッチ先生のキスが嫌じゃないの?」
『だって、お姉さまは…………あれ?………んー……』
業「…結花?どうかした?」
ぱたぱたと全身の全てのポケットを確認し、本格的に鞄を漁りだし会話どころではなくなった私に、カルマくんが不思議そうに訊いた。
『うーん………うん。忘れ物、した。教室戻るね。ばいばい』
にこっと笑みを浮かべてひらひらと手を振り、回れ右をする。
業「あ、待って結花!俺も行く!!」
慌てて付いてきたカルマくんに、一人でも大丈夫だよ?って言ったら、俺が一緒にいたいの。って言われたから、そっか。って笑った。
渚(…続きが気になる…)
カ(なんで結花は気にならないんだろう…)
杉(仲良いよな、あの二人…)
神(…何となく結花ちゃんの言いたいことがわかる気がする)